研究課題
変形性関節症は整形外科領域では最も頻度の高い疾患であり、我が国の潜在的な患者速く3300万人と推定されているが、適切な早期診断法がない。近年、がんの診断分野において「リキッド・バイオプシー」が注目されている。リキッド・バイオプシーは少量の血液や尿などで実施できるため(1)低侵襲 (2)早期診断 (3)ゲノム解析による治療薬選択 など多くの利点が報告されており世界中の研究機関や医療機器メーカーが開発に乗り出している。しかし骨・関節領域でのリキッドバイオプシーは我々の知る限り臨床応用例がない。果たして、変形性関節症のリキッドバイオプシーは実現できるのか?この命題に答えを出すために、本研究では変形性関節症へのリキッドバイオプシーに挑戦した。まず、ラットに膝関節の前十字靭帯及び内側側副靭帯を切離し、内側半月板を切除した変形性関節症手術モデルを作成した。変形性関節症手術の施行前および作成後において、経時的にそれぞれ関節液および末梢血液の採取を行った。得られた関節液および血漿成分からエクソソームを含む小胞成分を精製した。血漿成分中の小胞成分の粒子径を測定したところエクソソームが含まれていることが確認された。次にエクソソーム中に含まれているRNA成分を定量した。関節液はスタート時の採取量が少ないこともあってRNA検出が非常に困難であったのに対し、血液中のエクソソームに含まれるRNAは一定量存在することが確認された。これら一連の結果は、ヒト変形性関節症患者においても関節液が大量に貯留して穿刺を行うケースは、変形性関節症早期よりも変形性関節症進行期であることを鑑みると、関節液によるリキッド・バイオプシーの妥当性に解を与えると考えられ、血液中のエクソソーム成分に着目するべきであると考えられた。さらに、血液中のエクソソーム内のRNA解析結果から超高感度測定系が必要であることが明らかとなった。
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