研究課題
本研究では蝸牛の本質的機能である音刺激から神経活動への変換を担当する有毛細胞不動毛(Stereocillia)の障害に焦点を絞り、iPS細胞技術を用いて、既知変異・新規変異での病態解析研究を展開する計画である。初年度にCillia障害性難聴を呈する遺伝性難聴症例のうち3例からiPS細胞を樹立し、昨年度に分化誘導プロトコルの改善と電気生理学的手法の確立を行った。本年度は、昨年度からの課題であった (1)不動毛の微細構造を再現する、成熟した内外有毛細胞の大量分化誘導プロトコルのさらなる確立に加え、(2)内耳幹細胞をさらに効率よく正確に再現する分化誘導プロトコルの作成をし、(3)知的財産権取得の準備を行った。(1)iPS細胞からの精緻な内外有毛細胞の分化誘導プロトコル:昨年度に発見した外有毛細胞を選択的に得るプロトコルを得ることにつき、nを重ねデータの精度をさらに上げることに成功した。(2)内耳幹細胞プロトコルの改善:以前より用いていた細谷らのプロトコルをさらに改善し、蝸牛感覚上皮マーカーがより精緻に発現するプロトコルを樹立した。(3)(1)(2)の国内特許出願準備:データ収集を終え、現在明細書を作成している段階である。この手法を用い、初年度に作成した疾患特異的iPS細胞から蝸牛有毛細胞を分化誘導し、その表現形を今後検討していく。
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Otology Japan
巻: 30巻1号 ページ: 11-18
Scientific Reports
巻: 9 ページ: -
10.1038/s41598-019-47141-4
巻: 29巻2号 ページ: 125-130
www.ent.med.keio.ac.jp