研究課題/領域番号 |
17K19740
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 治 東北大学, 歯学研究科, 教授 (60374948)
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研究分担者 |
江草 宏 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30379078)
穴田 貴久 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (30398466)
上家 潤一 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (10400269)
松井 有恒 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (60547264)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | タンパク質 / リン酸カルシウム / 生体材料 |
研究実績の概要 |
本研究ではマクロファージを遊走させる機能を持ち,骨芽細胞のRANKL発現促進を介した破骨細胞形成能を持つことを先行研究にて明らかにしたリン酸八カルシウムを含む独自合成のリン酸カルシウム材料を研究材料として用い,材料表面での結晶化が及ぼす生体応答を調べ,組織再生に寄与する材料の条件について研究することを目的に検討した.リン酸カルシウム材料は血清中から免疫関連分子を含むタンパク質群を特異的に吸着できることから,免疫関連分子のモデルタンパク質として,まず一般的なタンパク質(アルブミン)を用いて,カルシウムとリン酸の過飽和水溶液から,リン酸カルシウム材料を基材として,アルブミンが共析する溶液条件と析出結晶相の同定を検討した.まず,タンパク質非存在下における検討を行い,自発沈殿が生じる限界近くまで高い過飽和度を設定した水溶液中において,リン酸八カルシウム基材上で基材と類似の結晶相あるいはより結晶化が進んだリン酸カルシウムの析出が確認できた.これらは水溶液組成の化学分析および析出相の機器分析から確認できた.一方,シミュレーションによる過飽和度予測による結晶相を反映していると思われるが,析出相は結晶性が低く結晶相の同定にはさらなる検討が必要であることが明らかとなった.このため機器分析の手段を増やして検討中である.並行してアルブミン存在下における共析の促進,析出相の同定についても検討を開始し,過飽和度とタンパク質吸着量との関連性について分析を行っているところである.過飽和度の高さと共析の促進に関連性が示唆されたため,定量的測定により解析を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
リン酸カルシウムとタンパク質の共析出の研究で,たんぱく質を共存させない系において過飽和度設定と結晶成長速度の関連性について検討を重ねている.水溶液の過飽和度シミュレーターによる計算で,析出相の予測が可能であったが,実際の析出相の結晶性についての定量的評価が新たに必要となった.
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今後の研究の推進方策 |
タンパク質共存下でリン酸カルシウムを析出させタンパク質の取り込みについて検討する.特に水溶液の過飽和度と析出相,またタンパク質吸着量を同定する.その上で,生体内での炎症性細胞侵潤とタンパク質吸着,また組織再生との関連性を検討し,材料の性質と生体応答について明らかにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
リン酸とカルシウムの水溶液からの過飽和度の析出の関係がシミュレーションから予想できたが,実際に合成した結晶析出相の同定が機器分析上,難しい点があった.そのため,既設装置による合成結晶の相の分析を実施し,今後の計画の準備を行った.そのため次年度使用額が生じた.
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