研究課題/領域番号 |
17K19750
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村上 伸也 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (70239490)
|
研究分担者 |
竹立 匡秀 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (60452447)
岩山 智明 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (80757865)
|
研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
|
キーワード | 骨芽細胞 / 誘電率顕微鏡 / 基質小胞 / ナノレベル観察 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、溶液中に存在する生体試料を、常温常圧下においてナノレベルで観察することができる高分解能誘電率顕微鏡を用いて、骨芽細胞分化過程の詳細を可視化し、その全容を理解することを目的としている。本年度は主に以下の3つの成果を得た。 1.マウス骨髄間質細胞であるKUSA-A1細胞を骨芽細胞分化誘導培地で培養し、4-10日目に高分解能誘電率顕微鏡観察を行ったところ、誘導群にみられる粒子は4-320nm(中央値90nm)であり、その大きさは経時的に増加していた。石灰化過程において中心的な役割を果たす基質小胞の大きさについての報告と一致しており、観察された粒子が基質小胞であることが示唆された。 2.観察された粒子が細胞内においてどのように形成されるかについて検討するために、KUSA-A1細胞を分化誘導培地に交換後、7時間において高分解能誘電率顕微鏡観察を行ったところ、多数の粒子が白い膜状構造物中に形成されることが明らかとなった。同構造物の詳細な解析により、同粒子はMultivesicular body中に形成されることが示唆された。 3.石灰化過程で細胞内に形成される粒子がリソソーム経路で分泌されているかどうかを検討するために、リソソーム中のATPase阻害剤であるBafilomycin A1を骨芽細胞分化誘導培地中に添加して同様の観察を行ったところ、Bafilomycin A1処理群では粒子が観察されなくなった。このことから、骨芽細胞内に形成される同粒子はリソソーム経路で分泌されることが示唆された。 以上の得られた結果を取りまとめ、国内の学会で発表を行うとともに、英語論文を投稿した。
|