研究課題/領域番号 |
17K19751
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中田 匡宣 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (90444497)
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研究分担者 |
川端 重忠 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (50273694)
住友 倫子 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (50423421)
山口 雅也 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (00714536)
鈴木 守 大阪大学, たんぱく質研究所, 准教授 (40280507)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | レンサ球菌 / 線毛 |
研究実績の概要 |
化膿レンサ球菌はヒトの上気道や皮膚へ局所性の化膿疾患を惹起するだけでなく,続発症として急性糸球体腎炎やリウマチ熱を起こす.また本菌は時に,壊死性筋膜炎や敗血症を伴う劇症型感染症を起こす.近年,感染者数の増加が社会的に懸念されており,ワクチンの開発が待ち望まれている.化膿レンサ球菌は血清型依存性に多様な線毛を産生する.線毛タンパク質はトリプシン耐性抗原として知られ,その抗原性は血清型分類 (T型別) に用いられてきた.化膿レンサ球菌の線毛は,1種のメジャーサブユニットと1~2種のマイナーサブユニットのイソペプチド結合による連結で組立てられ,最終的に細胞壁の遊離アミノ基へ架橋される.本研究では,血清型T3型の菌株が産生する線毛の発現機構と機能の解析を行う過程で認めたメジャーサブユニット FctAの分子間静電的相互作用について解析を行った.野生型ならびに静電的相互作用を担う残基群に変異を導入した組換えFctAタンパク質を作製し,タンパク質分解酵素に対する感受性を検討した結果,感受性に有意な差は認められなかった.T3型臨床分離株と温度感受性プラスミドを用いて,抗菌薬耐性遺伝子を有さないfctA遺伝子欠失株の作製を行い,シャトルベクターを用いて野生型もしくは変異型fctA遺伝子を発現させた.細胞壁画分を調製し,線毛発現を検討した結果,変異によりメジャーサブユニットの重合度は上昇することが示唆された.さらに,染色体DNAに変異を導入した変異株を作製し,細胞壁画分の線毛発現を検討した結果,同様の傾向が認められた.したがって,FctAの分子間相互作用が線毛重合過程に影響を与える可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
組換えタンパク質の作製,ポリクローナル抗体の作製,変異株の作製を行った.また,組換えタンパク質と変異株を用いた解析を開始しているため,概ね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
部分組換えタンパク質に対する抗体の作製と変異株の表現型の解析を行う予定である.また,感染実験を行い,メジャーサブユニット間の相互作用が及ぼす病原性への影響を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に予定する実験で用いる実験動物や試薬等の購入に備えるため,次年度使用額が生じた.次年度では,物品費に加え,学会発表や人件費等に使用する予定である.
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