研究課題/領域番号 |
17K19753
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
加藤 隆史 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (50367520)
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研究分担者 |
佐藤 文彦 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (60632130)
池邉 一典 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (70273696)
三上 章良 大阪大学, キャンパスライフ健康支援センター, 准教授 (60301272)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 睡眠 / 加齢 / ブラキシズム / ポリソムノグラフィー |
研究実績の概要 |
29年度は、ヒトおよび動物を用いた研究を行った。ヒトを用いた研究では、中高年被験者を対象として、睡眠ポリソムノグラフィー検査を実施した。これまでに、22名(男性10名、女性12名;平均年齢53.0±9.7歳)のデータを蓄積し、そのうち18名のデータについて、睡眠変数の解析を終了した。主な睡眠構築は、StageN1, StageN2, StageN3, StageR, WASOが睡眠時間に占める占有率は、それぞれ15%、44%、13%、16%、12%であった。この結果は、同時に解析を進めた20代の成人被験者のデータと比べて、StageN1、StageN2、StageR、WASOが多く、StageN3が少ない傾向にあった。また、中高年被験者では、若年成人データと比べて、無呼吸や低呼吸イベントの発生頻度が傾向があったため、データとして採用する被験者のカットオフ値を再検討する必要性が示唆された。睡眠時ブラキシズムの診断に必要な咀嚼筋活動の解析は現在実施中である。一方、若年および中高年の閉塞性睡眠時無呼吸やレム睡眠における筋活動の発現特性を調べ、睡眠障害の程度と咀嚼筋活動との関連に個人差が大きい可能性を認めた。実験動物を用いた実験では、若年成獣(N=3)に脳波、眼電図、筋電図等を設置し、慢性実験を可能とした動物を作成し、自由行動下で睡眠記録を実施した。若年成獣では、我々の研究グループで明らかにした睡眠時ブラキシズム用の咀嚼筋活動の解析と睡眠変数の解析を実施した。さらに30年度に、睡眠データの記録と同様のデータ解析を実施するために必要な老齢動物の飼育を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒトの睡眠実験では、スクリーニング過程に時間を要したことから中高年被験者のリクルートが当初の想定以上に進まなかったこと、関連する研究に共通した口腔機能検査のプロトコールの設定に時間がかかったことなど、睡眠記録の際の被験者導線が寒冷期の高齢者に対する対応を工夫する必要が生じるなどの理由で、睡眠記録を避けたことで、PSG記録を実施したデータ数が予定より少ない。動物実験では、実験記録システムにトラブルが発生したことで、実際に記録を完了したN数が想定よりも少なかった。
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今後の研究の推進方策 |
H30年度も、H29年度と同様のデータ収集を実施する。さらに,ヒトの睡眠実験では、リクルートを早い段階から実施して、被験者数を増加させ、咀嚼筋活動のスコアリングと睡眠時ブラキシズムの確定診断を実施し、様々な変数の被験群間で比較する。また、睡眠時ブラキシズムや睡眠時無呼吸症候群、レム睡眠行動異常症の患者データも含めた中高年被験群を加えて、健康な中高年被験者で発生する睡眠時ブラキシズムの病態特性を解析し、睡眠関連疾患と併存する睡眠時ブラキシズムとの病態生理の違いを解析する。動物実験では,昨年度から飼育してきた老齢期に入った動物の睡眠実験を実施し、睡眠中の閉口筋活動と睡眠状態の関係を調べ、若年成獣で得られたデータとの差異を検証する。また、ヒトの研究結果から、睡眠時無呼吸症候群と混在する頻度が高い可能性が考えられるので、睡眠時無呼吸を想定した実験環境を用いた実験系を構築する予定である。これらヒトと動物実験の結果を総合して、加齢変化による睡眠中の咀嚼筋活動の発生様式の違いを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
ヒトの睡眠実験を実施するためのプロトコール整備に時間を要したことによる被験者リクルート数が予定数を下回ったこと、口腔機能検査の項目等を改変したことによる購入備品の変更があった。また、動物実験では、機器トラブルのため当初予定の数の実験ができなかった。30年度は睡眠実験実施プロトコールが整備でき、さらに実験記録システムのトラブルも解消し、実験を遂行することができるため、当初の計画よりも実施ペースを上げて、30年度の実験予定に適った消耗品・機器購入等の執行を実施する。
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