研究課題/領域番号 |
17K19753
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
加藤 隆史 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (50367520)
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研究分担者 |
佐藤 文彦 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (60632130)
池邉 一典 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (70273696)
三上 章良 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学研究科, 教授 (60301272) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 加齢 / 睡眠時ブラキシズム / 睡眠 / 咀嚼筋 / 顎口腔機能 |
研究実績の概要 |
H30年度は、ヒト睡眠ポリソムノグラフィー検査を継続し、H29年度に収集したデータと併せて33名のデータを収集した。中高年被験者のリクルート過程を改善したが、全体として若年成人より無呼吸や低呼吸イベントの発生頻度が高いため、リズム性咀嚼筋活動(RMMA)と非特異的な咀嚼筋活動(NSMA)を分析するにあたり、無呼吸低呼吸指数が15回/hr以下の被験者22名を対象にした。その結果、RMMA indexは3.6±2.9/hr NSMA index 7.3±3.4/hrであった。また、若年成人54名の睡眠や咀嚼筋活動を分析し、中高年被験者の対照値を確立した。若年成人群を従来のPSG診断のカットオフ値をもとに健常群、軽度群、中等症症群に分類し比較したところ、睡眠変数、心理的変数など大きな差を認めなかった。中高年群では咀嚼筋活動の変数は同等であったが、マイクロアローザルの発生頻度が若年群よりも高く(中高年16.2±6.9/hr; 若年:8.3±2.9/hr)、一過性の覚醒に対する咀嚼筋活動の応答特性が加齢に伴って変化している可能性が示唆された。一方、実験動物を用いた実験では、若年成獣において睡眠中に発生するRMMが、脳波や心拍数増加の他、リズム性に関する生理学的特性について、ヒトのRMMAと類似することを明らかにした。これら、中高年被験者の呼吸イベントや覚醒反応の特性や、動物のRMMAの特性、動物サイズや行動特性を勘案して、老齢動物での睡眠時ブラキシズムモデルとして睡眠実験を遂行する記録系をの改善を図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒトにおいて、昨年度はプロトコールを改善し、中高年被験者データ数を徐々に蓄積することができているが、スクリーニングをクリアした被験者においても無呼吸イベントが頻発する被験者がおり、データ収集に苦労している。しかし、若年成人のデータの標準的な数値範囲は確立できたので、次年度でのデータ解析で最終的には当初の目的に到達できると考えられる。一方、動物実験については、若年動物で使用していた記録システムを、老齢動物に応じた形にするため、記録ケーブルの可動域や接続方法など記録システムの変更・対応が必要となったためやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトの睡眠実験は、次年度にデータ数を増加させるとともに、中高年と若年被験群での睡眠時ブラキシズムの生理学的特性の違いについて具体的な解析を実施する。また、動物実験では、老齢動物の記録系を改良して睡眠データを記録し、若年動物との特性を比較したうえで動物モデルとしての有用性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
H29年度で中高年研究協力者に混入する睡眠時無呼吸症候群をスクリーニングする過程を改善しデータ収集が進展したが、十分な被験者数を得るためにはもう少し研究期間が必要となった。ヒトの研究では研究分担者、動物実験系では実験を遂行担当の研究協力者の異動などがあったこと、動物実験ではヒトのデータを踏まえて老齢動物に応じた実験プロトコールを見極めるために時間を要した。以上の状況から、当初の予定より研究遂行に遅延が生じたため。
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