研究課題
前年度、軟骨肉腫細胞株HCS-2/8細胞を用いた検討で、CCN2が解糖によるエネルギー産生を亢進させる重要分子、ワールブルグ・エフェクターであるだけでなく、細胞内ATP量によりCCN2遺伝子発現が正に制御されている可能性を見出した。そして本年度、この事実はグルコース飢餓によってCCN2遺伝子発現が低下することにより裏付けられた。したがって同細胞ではCCN2はワールブルグ・エフェクターを超え、正のフィードバックにより解糖系を活性化するワールブルグ・ブースターとして機能することが明らかになった。これに加えて本年度からは前年度得た発見、すなわち解糖系抑制によってCCN2とは逆にCCN3発現が誘導されることに着目し、CCN2とCCN3のエネルギー代謝による制御メカニズムの解明という新たな研究プロジェクトに取り組んでいる。まず、このCCN2の抑制とCCN3の誘導が歯科領域で広く使用されているエノラーゼ阻害剤、フッ化ナトリウムによっても起こることを確認した。これは口腔粘膜において、組織線維化に深く関与するCCN2とCCN3の発現を制御する手段の開発につながるという点で非常に重要な発見と言える。続いてヒトCCN3のプロモーターの各種欠損変異体を組み込んだレポータープラスミドを用いて、解糖系抑制によるCCN3の発現誘導を媒介するエンハンサーを含む領域を同定した。さらにin silicoで同領域に含まれる転写因子結合配列を予測するとともに、軟骨細胞のRNAシークエンシングデータ、およびCCN3を高発現する細胞株のChIPシークエンシングデータを解析し、この現象を媒介する転写因子候補を割り出した。興味深いことに同転写因子の遺伝子発現も解糖系抑制によって誘導される。現在この転写因子が、同条件下におけるCCN2の発現誘導やCCN2の発現抑制に関わっているか、遺伝子サイレンシング実験で検証中である。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (25件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
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