シェーグレン症候群は、ドライアイ、ドライマウスを主症状とする自己免疫疾患であり、涙腺および唾液腺の導管周囲に著明なリンパ球浸潤を認める。リンパ球の大部分は活性化した自己反応性T細胞であり、これらの免疫反応により涙腺、唾液腺の外分泌機能が傷害される。しかしながら、自己反応性T細胞の活性化を制御するメカニズムについては、多方向からのアプローチにより解明を図っているにもかかわらず詳細は未だ不明である。そこで本研究では、細胞内代謝の観点から、シェーグレン症候群における自己反応性T細胞の活性化機序を明らかにすることを目的として解析を行った。 自己反応性T細胞の活性化の制御に関わる分子を同定するため、シェーグレン症候群モデルマウスおよび健常マウスのそれぞれのリンパ臓器から分離したCD4陽性T細胞を用いて定量的プロテオミクス解析を行った。その結果、病態の増悪に相関して発現が変動するタンパク質分子群が抽出され、これらの分子群の中から、抗原の認識に関与する分子に着目した。シェーグレン症候群モデルマウスの末梢CD4陽性T細胞を用いたフローサイトメトリーによる解析等においても、健常マウスと比較して当該分子のタンパク質発現量の顕著な変動が確認された。したがって、当該遺伝子のノックアウトマウスの作成に着手し、現在、解析中である。 また、シェーグレン症候群モデルマウスおよび健常マウスのそれぞれのリンパ臓器から分離したCD4陽性T細胞を用いてマイクロアレイ解析を行い、シェーグレン症候群モデルマウスのCD4陽性T細胞で著明な発現上昇が認められた分子と関連するIL-1aについて、その細胞内局在を検討したところ、興味深い知見が得られたためその成果を発表した(論文査読中)。
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