研究課題/領域番号 |
17K19765
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉崎 恵悟 九州大学, 歯学研究院, 助教 (10507982)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 歯 / 上皮-間葉相互作用 / 再生 |
研究実績の概要 |
歯は上皮-間葉相互作用によって形成される器官であり、毛、唾液腺、肺および腎臓などと同様に上皮細胞が間葉細胞に陥入することでその発生が始まる。本研究課題は、上皮ー間葉相互作用に重要な因子を同定するため、歯の細胞を用いた上皮-間葉相互作用スクリーニングシステムの構築を目指し研究を開始した。 本年度は、上皮-間葉相互作用によって形成される器官の遺伝子発現を比較するため、発生初期のマウス胎仔より歯、肺、腎臓、唾液腺および毛を摘出し、CAGE法を用いて網羅的解析を行った。CAGE解析は、mRNAの5'末端を切り出す技術で、高速シーケンシングとの組み合わせにより、全ゲノムの転写開始点を定量的に解析することが可能となる。CAGE解析により、それぞれの器官に特異的に発現する転写開始点を50個前後、すべての器官に共通して発現する転写開始点を19個同定した。これら遺伝子の中から、歯に特異的遺伝子の発現を発生段階ごとに比較したところ、歯の発生初期に強く発現していることが確認できた。これらの結果は、上皮-間葉相互作用によって形成される組織特異的に働く遺伝子の存在を示し、これら因子が上皮-間葉相互作用の制御因子として働いている可能性が考えられた。今後は、これら因子の中から、上皮-間葉相互作用を引き起こす因子を同定するため、in vitroによる上皮-間葉相互作用スクリーニングシステムの構築を行い、さらなるスクリーニングを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、上皮-間葉相互作用に共通して発現する遺伝子群の同定に成功したため、おおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
歯原性間葉細胞株に遺伝子導入し、歯胚より採取した上皮細胞を直接乗せることで上皮-間葉相互作用を起こすモデルを構築することで、さらなる遺伝子スクリーニングを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は上皮-間葉相互作用に重要と考えられる遺伝子スクリーニングを、RNA sequencingを用いて解析を行った。その際、これまでに行ってきた歯の発生に関わるスクリーニングデータと統合することで、シーケンスを行うサンプル数の大幅な削減に成功した。今回未使用分は翌年度分と合わせて、上皮-間葉相互作用検出システムの構築に用いる予定である。
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