研究課題
骨基質タンパク質の1つであるオステオカルシン(OC)は、糖代謝、脂質代謝などエネルギー代謝に有用な作用を発揮するホルモンであることが報告されている。ヒトを対象とした疫学調査より、血清中性脂肪ならびにLDL-コレステロール値とOC量には負の相関が見られるという報告もある。上記OCのさまざまな代謝調節機構の解明が進んでいるが、未だ明らかにされていない点も残されている。培養肝細胞をOC存在下で培養した時、オルガネラ、特にミトコンドリアおよびペルオキシソーム局在性の脂肪酸β酸化系酵素に対する発現増加作用を独自に見出している。しかしながら、その効果がOC受容体であるGPRC6A依存性であるかは不明であった。そこでまず、培養肝細胞に対してsiRNA法によりGPRC6Aを発現抑制できることを確認した。続いてGPRC6A発現抑制細胞での両オルガネラのβ酸化系酵素 (MCAD :medium chain acyl-CoA dehydrogenaseおよびACOX :acyl-CoA oxidase)の発現抑制を確認した。このことから、培養肝細胞におけるOCの作用もGPRC6Aを介していることが推察され、確かにGPRC6A発現抑制細胞ではOCの効果が消失した。さらに、GPRC6A発現抑制によって両オルガネラ局在性膜タンパク(例えばTIM44:translocator of inner membrane 44および Pex14p:Peroxin14)の発現抑制に加えて、ミトコンドリア、ペルオキシソームの生合成を司るとして知られている転写因子 Peroxisome proliferator -activated receptor γ co-activator 1α (PGC1α)タンパク質量の低下も確認された。
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