研究課題
歯周組織再生用の足場材用には、優れた生体親和性が要求される。本研究では、生体親和性高分子であるpoly(2-methoxyethyl acrylate)(PMEA)が、水-高分子界面に「中間水」と定義できる特殊な水和層を形成することを報告している。また、PMEAと同じ化学組成を有し、側鎖のエステル結合部分が反転した構造を有するポリ(3-メトキシプロピオン酸ビニルエステル)(PMePVE)を合成し、含水状態での水和構造と生体親和性との相関について検討を行ってきた。その結果、PMePVEはPMEAと同程度の優れた生体親和性を示し、PMEAと同様に中間水が存在することが明らかとなった。本研究では、PMePVEとPMEAの側鎖構造の違いがもたらす機能の差異について詳細な検討を行うため、側鎖炭素数を増加したPMePVE類似体や、分子量を制御した高分子の設計・合成を行った。得られた高分子について、側鎖構造の変更に伴う水和構造の変化を検証し、発現する生体親和性との相関性について検討することで、抗血栓性発現機構の解明を試みた。分子量を制御したPMEAとPMePVEは、タンパク質の構造変化を抑制した。PMePVEの側鎖はPMEAの側鎖よりも高い運動性を持ち、側鎖と相互作用する水の運動性も協同的に高くなった結果、運動性の高い水分子が増加したためだと考えられる。以上の結果から、側鎖の結合様式を変更することで側鎖の運動性を制御し、各水の組成を変更できることがわかった。さらに、運動性の高い水分子が、生体親和性発現において重要な役割を果たしている可能性が見出された。
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Science Advances
巻: 4 ページ: eaau2426
International Journal of Molecular Sciences
巻: 19 ページ: 17
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