研究課題
昨年度までの研究でプレボテラ・インターメディアにおいて、Ⅸ型分泌機構(T9SS )分泌タンパク質分解酵素遺伝子の遺伝子特異的変異株を用いた解析から2つの遺伝子がバイオフィルム形成機構に関わることを明らかにした。本年はこれらの遺伝子についてさらに解析を行った。バイオフィルム形成の減弱をクリスタルバイオレット色素法とSYTO9による蛍光染色後に共焦点レーザー顕微鏡観察から標本の三次元画像を構築して比較した。T9SS構成遺伝子の変異株ではほぼ完全にバイオフィルム形成は失われていた。標的のタンパク質分解酵素遺伝子の変異株2種でのバイオフィルム形成は色素法ではそれぞれ野生株の約40%に、共焦点レーザー顕微鏡では平均厚みがそれぞれ野生株の約10%に減弱していた。この結果からバイオフィルム形成機構に関わる因子がこの2遺伝子のみか二重変異株にて確認する必要が生じた。また同定した2遺伝子が必須であることを確認する為に遺伝子の相補実験が必要となった。そこで遺伝子相補株作成時に用いる選択遺伝子について検討した。変異株作成にはエリスロマイシン耐性遺伝子を用いていたので、その他の抗生物質耐性遺伝子で本菌が属するbacteroides属での使用実績のあるもの3種について検討した。が、いずれを用いても耐性遺伝子が導入された菌を特異的に選択することはできなかった。そこでmarker-lessタイプの変異株作成方法の開発を行った。marker-lessタイプの遺伝子変異株のみを選択する為に最近Bacteroideで開発されたTet-on発現調節システムを使用した。その結果、遺伝子の導入条件等を検討した結果、Tet-onシステムにて致死性遺伝子を厳密に発現させ、marker-lessタイプの遺伝子変異株を得ることができた。
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