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2018 年度 実施状況報告書

骨細胞を基軸とするオートファジー誘導性優先配向制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K19770
研究機関長崎大学

研究代表者

澤瀬 隆  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (80253681)

研究分担者 黒嶋 伸一郎  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (40443915)
佐々木 宗輝  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10706336)
中島 和慶  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 客員研究員 (40707246)
住田 吉慶  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (50456654)
研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2020-03-31
キーワードオートファジー / 荷重 / インプラント / 骨細胞
研究実績の概要

歯科領域では、2000年に米国国立衛生研究所が提唱した新規概念の骨質に関する基礎研究がほとんど行われていない。そこで本研究は,荷重に起因する骨質の変化メカニズムをオートファジーの観点から解明することを目的とした。
本年度は、開発済みのラット通常型インプラントと、骨質の変化が誘導されるラット配向型インプラントの両者を用いて実験を行った。ラット上顎両側第一大臼歯を抜歯して3週間後(骨治癒期間)に、通常型もしくは配向型インプラントを両側に埋入した。ランダムに選択された片側のインプラントには繰り返しの規則的荷重を付与し(荷重群)、残りの片側のインプラントには荷重を付与しなかった(対照群)。荷重の付与期間は2週間と5週間に設定し、時系列でラットを屠殺してインプラントを含めた上顎を採取した。前年度は3次元的構造解析や組織形態学的解析が主体であったが、本年度はオートファジー関連分子の免疫組織化学的検索を中心に研究を行った。具体的には、複数のオートファジー関連分子に対する特異抗体を使用して免疫染色を行い、定量解析して骨細胞におけるオートファジー関連分子の変動を観察した。その結果、通常型インプラント周囲骨の荷重群では、2週間後から骨細胞におけるオートファジー関連分子Xが変動することが分かり、5週間後においてその変動は著明となっていた。また、荷重付与5週ではオートファジー関連分子Xに加えてYもまた、対照群と比較して大きく変動することが分かった。このことは、配向型インプラントでも同様に認められたが、通常型インプラントと配向型インプラントの荷重群同士を比較すると、配向型インプラントの方が、インプラント周囲骨組織内の骨細胞で、これらオートファジー関連分子XとYは有意な変動を起こしていた。以上から、この二つの分子XとYが荷重応答性に変化する骨質を制御している可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、骨質の変化とともに骨細胞内で大きく変動するオートファジー関連分子XとYを見出すことができ、骨質制御に関与する可能性を検討するために大きくステップアップできたと考えられるため、現在までの進捗状況を(2)おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

mTOR阻害薬であるRapamycinを投与してオートファジー増強型モデルを作成する。また、オートファジー関連分子LC3b、Beclin、ULK1が有意に低下する24週以降の雄性ラットを使用して、オートファジー減衰型モデルを作成する。これら2種類のラットの上顎両側第1大臼歯を抜歯して3週間後にインプラントを埋入し、片側には繰り返し荷重を付与して、残りの片側には付与しない実験系を行う。荷重付与2週と5週でラットを屠殺し、インプラントを含む上顎を採取して、3次元的構造解析、組織形態学的解析、免疫組織化学的解析、ならびにオートファジー関連分子XとYの変動を、骨組織(骨細胞)から抽出した遺伝子とタンパク質にて検索する。また、オートファジー関連分子XとYに対するsiRNAを作用させ、XとYが骨質関連分子であることの証明も検討する。

次年度使用額が生じた理由

研究費の使用開始時期が遅いため、その分が毎年繰り越されるような形となっている。研究の遅れからではなく、使用開始時期のずれ込みが未使用研究費を生み出している。次年度は最終年度となるため、本年度よりもややスピードを上げて計画通り研究を行う。本年度はウェスタンブロッティング用のオートファジー関連分子に対する抗体を多く必要とするため、繰り越しを含めた全ての基金を残金なく使用可能である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 歯科補綴学における骨質のパラダイムシフト2018

    • 著者名/発表者名
      黒嶋伸一郎,加来 賢,石本卓也.佐々木宗輝,中野貴由,澤瀬 隆
    • 雑誌名

      日本補綴学会誌

      巻: 10 ページ: 1-15

    • 査読あり
  • [学会発表] 補綴治療に求められる骨質を科学する.「骨質を基盤とした補綴歯科治療戦略は必要か」2018

    • 著者名/発表者名
      黒嶋伸一郎
    • 学会等名
      公益社団法人日本補綴歯科学会 第127回学術大会
  • [学会発表] インプラントを介した規則的な繰り返し荷重が骨関連細胞とコラーゲンの配向性に与える影響2018

    • 著者名/発表者名
      右藤友督,黒嶋伸一郎,石本卓也,内田悠介,叶井里歩,中野貴由,澤瀬 隆
    • 学会等名
      第38回日本骨形態計測学会
  • [学会発表] 規則的な繰り返し荷重がインプラント周囲の骨関連細胞とコラーゲンの配向性に与える影響2018

    • 著者名/発表者名
      右藤友督,黒嶋伸一郎,石本卓也,中野貴由,澤瀬 隆
    • 学会等名
      第4回日本骨免疫学会
  • [学会発表] ラット上顎骨に埋入されたスレッドインプラント周囲における荷重の影響2018

    • 著者名/発表者名
      右藤友督,黒嶋伸一郎,石本卓也,稲葉菜緒,内田悠介,中野貴由,澤瀬 隆
    • 学会等名
      第36回日本骨代謝学会学術集会
  • [学会発表] 口腔インプラント治療と研究をつなぐ.「骨質を基軸とした新規インプラントの開発とインプラント-薬剤関連顎骨壊死の病態解明に向けた取り組み」2018

    • 著者名/発表者名
      黒嶋伸一郎
    • 学会等名
      平成30年度公益社団法人日本補綴歯科学会九州支部学術大会
    • 招待講演
  • [学会発表] インプラント周囲骨組織における荷重応答性の骨質変化2018

    • 著者名/発表者名
      右藤友督,黒嶋伸一郎,内田悠介,叶井里歩,澤瀬 隆
    • 学会等名
      平成30年度公益社団法人日本補綴歯科学会九州支部学術大会
  • [学会発表] Effect of local PTH administration on maxillary bone around implants in osteoporotic rats2018

    • 著者名/発表者名
      Inaba N, Kuroshima S, Uto Y, Uchida Y, Sawase T
    • 学会等名
      28th Annual scientific meeting of the Australian and New Zealand Bone and Mineral Society
    • 国際学会
  • [学会発表] Effect of mechanical loading on bone around threaded implants in rat maxillae2018

    • 著者名/発表者名
      Uto Y, Kuroshima S, Inaba N, Uchida Y, Kanai R, Sawase T
    • 学会等名
      Effect of mechanical loading on bone around threaded implants in rat maxillae
    • 国際学会
  • [学会発表] 高齢患者に対するプレシジョンインプラント補綴治療の提案2018

    • 著者名/発表者名
      黒嶋伸一郎
    • 学会等名
      第48回公益社団法人日本口腔インプラント学会学術大会
  • [学会発表] Mechanical repetitive load on implant enhances bone quality around implant2018

    • 著者名/発表者名
      Uto Y, Kuroshima S, Inaba N, Uchida Y, Kanai R, Sawase T
    • 学会等名
      The11th AAO CONGRESS MEETS ITI KOREA AND KASFO
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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