研究課題/領域番号 |
17K19773
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
自見 英治郎 九州大学, 歯学研究院, 教授 (40276598)
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研究分担者 |
松原 琢磨 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (00423137)
中富 満城 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (10571771)
古株 彰一郎 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (30448899)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 歯 / 唾液腺 / p130Cas |
研究実績の概要 |
我々はデータベースからアクチンの重合に関わる分子p130Casが唾液腺や腎臓など上皮-間葉相互作用によって形成される器官に発現することから、p130Casが機能発現に重要な分子の1つである可能性を想定した。そこで上皮特異的にp130Casを欠損する(p130Cas cKO)マウスを作製した。p130Cas cKOマウスは、成長過程で野生型マウスと比べて著明な変化を認めなかった。しかし、p130Cas cKOマウスの切歯は野生型のものと比較して、色が白く表面の粗い石灰化不全がみとめられ、さらに切歯の先端が欠けたマウスも多数みられた。また唾液腺の大きさも小さく、組織学的に腺房細胞の萎縮を認めた。そこでμCT撮影を行い、3次元構築しエナメル質の石灰化状態を比較したところ、野生型マウスと比較してエナメル質が薄く、EPMA解析でCaおよびPの含有量も低かった。さらに組織学的解析において成熟(極性化)エナメル芽細胞の配列が乱れていた。一方、野生型マウスの唾液腺と比較してp130Cas cKOマウスの唾液腺では導管細胞の分化マーカーの1つであるE-カドヘリンの発現は変わらなかったが、腺房細胞の分化マーカーの1つであるアクアポリン5発現が低下していた。また生後8週齢のマウス唾液腺ではp130Casの発現は確認できなかったが、胎生期の唾液腺ではp130Casが発現しており、p130Casは唾液腺の初期発生に重要な役割を担っていることが示唆された。 今後マウス胎仔より歯や唾液腺の器官培養を行い、歯や唾液腺の発生過程におけるp130Casの役割を詳細に解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年4月に研究代表者が現職に異動した。異動先では動物実験施設の改修工事が行われており、また動物実験申請書が承認されるまでに時間を要したことから、当初予定していた実験計画より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
異動先の動物実験施設の改修工事が終了し、間もなく稼働すると思われるが、実際に実験に使用できるのに十分なマウスを確保するまでには時間を要することが考えられる。そこで、前職場の動物実験施設で飼育しているマウスの飼育を業者に委託し、常時実験に必要なマウスを供給してもらえるような準備を整えた。またマウス胎仔より歯や唾液腺の器官培養の手技を習得したので、29年度に予定より遅れた実験を遂行することが可能になると思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年4月に研究代表者が現職に異動した。異動先では動物実験施設の改修工事が行われており、前職場からマウスを移動できていない。そこで平成30年度にマウスを移動するための費用を確保している。
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