研究課題/領域番号 |
17K19776
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
宇田川 信之 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70245801)
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研究分担者 |
小出 雅則 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (10367617)
吉成 伸夫 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (20231699)
中本 哲自 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (30514989)
中村 美どり 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (90278177)
上原 俊介 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (90434480)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 破骨細胞 / 骨芽細胞 / 骨代謝共役 / 心臓血管疾患 / 動脈硬化 / 骨粗鬆症 / 歯周病 / オステオプロテゲリン |
研究実績の概要 |
加齢による歯槽骨吸収には破骨細胞の分化亢進と活性化が関与する。歯周病の原因となる嫌気性細菌の細胞壁成分であるLPSは、骨芽細胞に作用して、TLR4とMyD88を介して破骨細胞分化因子RANKLの増加と破骨細胞分化阻害因子OPGの減少を惹起させる。一方、骨組織は、吸収と形成が絶えず繰り返される動的組織で、破骨細胞による骨吸収に続き、骨芽細胞が正確に吸収部位に骨を作る。そのため、骨組織の形と量は生涯維持されている。これが骨代謝共役と呼ばれる現象である。骨粗鬆症や歯周病では、骨代謝共役は破綻し、吸収量が形成量を上回るために骨量は減少する。そのため、これらの疾患では、骨吸収を抑制することが重要な治療法となることは言うまでもない。歯周病と全身疾患との相互関係を解明する研究分野は、ペリオドンタルメディスンという1つの学問体系として構築されるに至った。現在まで、心臓血管疾患(cardiovascular disease: CVD)、関節リウマチ、糖尿病、誤嚥性肺炎、骨粗鬆症、腎臓病、早産・低体重児出産などが歯周病との関連を報告されてきた。さらに近年では、歯周病と悪性腫瘍やアルツハイマー病との関連も報告されている。我々は、中等度以上の歯周炎患者に対して標準的な歯周病治療を施行し、動脈硬化指数である心臓足首血管指数(Cardio Ankle Vascular Index: CAVI)を測定した。CAVIは、大動脈を含む「心臓(Cardio)から足首(Ankle)まで」の動脈(Vascular)の硬さを反映する指標(Index)である。歯周治療後に、69名の被験者のうち55名(80%)においてCAVI値は有意に低下した。今後、歯周病を単に口腔内に限局した疾患と捉えるのではなく、慢性炎症から動脈硬化への進展という観点を持ち、歯周治療が動脈硬化の治療と予防に有用かどうかについて、更なる検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歯周治療が動脈硬化の治療と予防に有用である可能性を示す結果が得られた。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)加齢疾患モデルマウスを用いたOPG発現と歯周病発症との関連に関する実験が遅延したため。 (使用計画)上記実験を早急に遂行する予定である。
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