研究課題
癌幹細胞ニッチをつくる癌関連線維芽細胞cancer-associated fibroblasts, CAFは転移環境を整備する。Podplanin, PDPNはCAFの有力な機能分子候補である。PDPN陰性の線維芽細胞がCAFでは陽性となる理由として、PDPNのアクトミオシン重合促進機能はPDPN発現細胞を緊縮させるためと考えられている。本研究では、申請者が初めて樹立したPdpn cKOマウスを担癌マウスに応用し、PDPNが癌間質細胞の運動と増殖における役割を追求した。Pdpn cKOマウスに発生したCAFはワイルドタイプCAFと比較してニッチ形成能力が低いため、移植腫瘍の増殖と転移の効率が悪いことが予想される。C57BL/6N-TgH(Pdpn)fl/flとB6.Cg-TgN(Col1a1-Cre)1HaakからC57BL/6-R26R;Col1a1-Cre;PdpnΔ/Δを作出しC57BL/6(WT)と比較した。C57BLハプロタイプ同系腫瘍として、肺への高転移能を示すルイス肺がん由来細胞株Ex-3LL、血管内への高浸潤性を示すルイス肺がん由来細胞株Int-3LL、マウスメラノーマB16-F10-Lucの移植マウスでは、癌間質径と間質血管数はWTよりPdpn cKOで低かった。また転移率と生存率はWTよりPdpn cKOで低下した。ADCC・CDC活性誘導性マウスFcキメラ型ラット抗マウスPDPN抗体投与腫瘍移植マウスでは、Pdpn cKOマウスと同様に癌間質径・間質血管数の減少と生存率の上昇が見られた。現在、腫瘍細胞移植マウスの腫瘍間質からCAFを単離し、腫瘍細胞・血管内皮細胞と共培養して、WT由来とPdpn cKO由来のCAFで増殖効率の差とこれに関わる遺伝子を検討している。
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