研究課題/領域番号 |
17K19783
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
丸山 良子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (10275498)
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研究分担者 |
菅野 恵美 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (10431595)
丹野 寛大 東北大学, 医学系研究科, 助教 (10755664)
佐々木 康之輔 東北大学, 医学系研究科, 助教 (50755642)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 高齢者 / 自律神経活動 / 循環動態 |
研究実績の概要 |
超高齢者社会へと向かっている日本において、近年手術を受ける超高齢者が増加している。術後の早期離床と引き続いて行われる早期からのリハビリテーションは、肺合併症の減少や廃用症候群の予防に効果をもたらした。しかし、意識レベルと循環動態が改善し、早期離床が可能と判断した症例で、離床時の体位変換に伴い突然の心房細動、意識低下、眩暈など患者に不利益が症状が出現することがある。そこで、本研究は高齢者を対象に、体位変換時の循環動態と心電図から得られる心拍変動解析を用いて、自律神経活動を評価した。高齢者は若年者に比較して、一般的に交感神経の増加と副交感神経活動の低下が認められる。本研究の対象である高齢者もこれまで評価した若年者と同様の結果で、仰臥位から左右測臥位時への体位変換で、左側臥位時の心拍数が、仰臥位、右側臥位時に比べて低値を示した。交感神経活動の指標であるLF/HFは左側臥位に比べ右側臥位時に低値を示したが、副交感神経活動の指標であるHFは、体位による変化を認めなかった。さらに仰臥位時の交感神経活動の高い高齢者ほど、右側臥位への体位変換時の交感神経活動の低下が大きい傾向を示した。呼吸数は、仰臥位から左右測臥位時への体位変換に伴い増加を示したが、呼吸数に影響をもたらす可能性のある副交換神経活動に変化はないことから、この呼吸数の増加は自律神経活動と直接関連がないことを示すものと考えられる。離床に伴って生じる心房細動や不整脈は交感神経活動の急激な増加を副交感神経活動が制御できずに生じていると考えられるが、本研究の結果から右側臥位で交感神経活動の低下が生じることから、術後の最初の体位変換は、左側よりも右側臥位を最初に試みることがより安全である可能性を示した。
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