研究課題/領域番号 |
17K19785
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井上 彰 東北大学, 医学系研究科, 教授 (70361087)
|
研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
|
キーワード | 緩和医療 |
研究実績の概要 |
生存期間を延ばすための抗がん剤治療の研究は数多あるが、「治療の止めどき」についての研究は皆無である。一定の有効性が示された薬剤が次々と上市される昨今、がん治療医はそれらの薬剤を「使い切る」ために抗がん剤治療を引き延ばす傾向にあるが、その真の有用性は証明されておらず、むしろ必要な緩和ケアへの移行が遅れて患者の生活の質を落としていることが懸念される。特に分子標的治療薬は既存の殺細胞性抗がん剤以上に高額であり、無為な治療が継続されることは医療経済的にも大きな損失である。本研究課題では、抗がん剤治療を適切に中止することは患者の予後に悪影響を及ぼさず、むしろQOL向上に貢献することを仮説としている。 平成30年度は、昨年度に引き続き分子標的薬を最終治療として服用中の進行肺がん患者を対象とした観察研究を継続している。本研究は、申請者がこれまで進行肺がん患者を対象に複数の大規模試験を完遂してきた多施設共同研究グループで行われており、症例集積も順調に進んでいる。 登録患者が予後不良因子の一定条件を満たした後、死亡するまでの期間についてデータを集積し、諸因子との関連性を解析する。さらに予後不良因子到達後の医療コストも各患者で算出して、抗がん治療継続の経済的影響についても検討する。それらの結果をふまえて、その後の前向き介入研究の基礎データとする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおり「一定条件を満たした後の分子標的治療薬が患者の生存期間の延長に寄与しているか」を検討するための観察研究が昨年度から開始され、本研究に参加している全国の施設から症例登録が行われている。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は、申請者がこれまで進行肺がん患者を対象に複数の大規模試験を完遂してきた多施設共同研究グループで実施されており、300例の目標症例集積に努める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度は当初予定していた出張を取りやめたため旅費の使用が少なかったが、その分は次年度の物品費その他として使用する予定である。
|