研究課題
生存期間を延ばすための抗がん剤治療の研究は数多あるが、「治療の止めどき」についての研究は皆無である。一定の有効性が示された薬剤が次々と上市される昨今、がん治療医はそれらの薬剤を「使い切る」ために抗がん剤治療を引き延ばす傾向にあるが、その真の有用性は証明されておらず、むしろ必要な緩和ケアへの移行が遅れて患者の生活の質を落としていることが懸念される。特に分子標的治療薬は既存の殺細胞性抗がん剤以上に高額であり、無為な治療が継続されることは医療経済的にも大きな損失である。本研究課題では、抗がん剤治療を適切に中止することは患者の予後に悪影響を及ぼさず、むしろQOL向上に貢献することを仮説としている。令和元(平成31)年度は、昨年度に引き続き分子標的薬を最終治療として服用中の進行肺がん患者を対象とした多施設共同研究グループによる観察研究を継続し、現時点で100例を超える症例が集積されているが、肺がん患者の予後が総じて延びていることから、予後不良因子を含めた解析にはまだ至っていない。本研究は今後も継続し、いずれは予後不良因子到達後の医療コストの算出や抗がん治療継続の経済的影響も含めた解析を行い、その後の前向き介入研究の基礎データとする。一方で、上記観察研究とは別に終末期がん患者の治療実態に関するレトロスペクティブ研究を行い、終末期に関わらず化学療法を受けることが有益と考えられる患者群を示すことができた。
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