研究課題/領域番号 |
17K19787
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
井上 貴昭 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60379196)
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研究分担者 |
小山 泰明 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (00445876)
下條 信威 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20462210)
榎本 有希 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (30649231)
丸島 愛樹 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40722525)
松本 佑啓 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (50793725)
河野 了 筑波大学, 医学医療系, 講師 (90323295)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | Business Impact Plan / Business Impact Analysis / 病院籠城 / 病院避難 / 情報共有 |
研究実績の概要 |
有事の際に病院診療を継続する意義と必要性は、Business Continuity Plan (BCP)として重要視されている。一方でBCPとは裏腹に、病院避難を余儀なくされる事例が昨今報告され、必ずしも病院避難がよい結果ではなかった。これは、BCPや災害マニュアルが、病院籠城を原則に計画されており、入院全患者・全職員の避難を考慮する、『病院避難に関する基準』が明らかではないからである。災害の種類、ライフライン損壊業況、ハザードの進行状況、患者の重症度、避難方法の確立、などを基に、患者及び職員の安全性を最大限に考慮し、科学的に病院避難を判断する一定の基準づくりが求められる。本研究の目的として、a.大規模災害における病院避難を科学的に判断する基準づくりと、b.病院避難した施設を効率的に受け入れるための地域共通BCPと情報共有ディバイスの作成、を最終目的にしている。 2017年はまず自院のライフラインを中心に、公表されている首都直下型地震の規模を参考に、初期3日間を維持するに必要なBCPを構築した。800床の大学附属病院である当院において、電気消費量は一般系統3100kW/hr、非常用電源1400W/hrであった。非常用電源を稼働させる重油は120tの貯蔵量であった。水は、市水と井戸水の供給源があり、市水として530t/day、雑用水として360t/day消費していた。有事の際も停止不可能な診療業務を3日間存続するには、電気は通常業務の1/3に制限し、水は井戸水が使用可能であれば通常の9割の節水で十分存続が可能であった。一方、液体酸素から供給される酸素は、約58万L/day使用しており、最低の補充量でも約2週間は通常診療可能であるが、本供給システムが損壊し、酸素ボンベで供給する自体になれば、半日しか病院機能の存続ができないことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
採択から予算執行期限まで実質半年程度であり、病院避難を経験した施設へのインタビューは行えていない。一方で、自院における東日本大震災、首都直下型地震を想定被害とする初期3日間の病院機能を継続させるためのBIA及びBIPについて、電気、重油、水、医ガスのライフラインまで整備を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
病院籠城、あるいは病院避難をこれまでの大規模災害で経験した施設に対するインタビュー調査ないし、アンケート調査により、判断基準となる条件やライフラインの使用可能状況などの調査を実施する。それを踏まえて有事の際に必要な情報共有のシステムつくりを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
病院避難を経験した施設に出向く旅費や、地域主要施設間で有事の際の情報共有のためのタブレット端末購入及び、専用アプリの開発費用に予算確保していたが、採用からの時間の関係から進まなかったため。
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