研究課題
前年度における論点の整理と先行知見の検討を踏まえ、最終年度においては、当該研究課題に関する複数の論点を踏まえた項目セット群を作成するとともに、研究組織において、その妥当性の検討を行った。こうした検討を踏まえて、外科医療を受診した患者を対象とした調査票を作成した。この調査票は、いわゆる患者経験調査における外科診療に焦点をあわせたものであり、単に術中のみの経験を患者に問うというものであると言うよりは、術前における手術等に関する主治医による説明等のコミュニケーション、麻酔科医等による麻酔等に関する説明や、術後の主治医のフォローアップ体制、当該組織における転院後のフォローアップ体制等に関しても経験を問うものとなっており、外科診療を広く捉えたものとなっている点に特徴があるといえる。ついでこの調査票を用いて、実際のデータの収集を試みた。その実施に際しては、研究代表者、研究分担者、および研究協力者らが関与する医療機関において、データの収集を行った。調査対象者は、各医療機関の外科を退院する患者とし、自記式の調査票を退院時の医療費清算の際に、研究内容を書面によって説明した後に調査への了承を得た患者に対して配布を行い、調査票の回収は郵送により返信を依頼することにより実施した。回収した調査票はデータ化した後、まずは各質問項目で単純集計を行い、回答傾向のバラツキに着目し質問項目を抽出し、ワーディングなどを含めその内容的な妥当性の検証を行った。今後の研究課題として、海外の研究協力者らと、これら質問項目の回答傾向を、海外における知見と比較し、その内容的な妥当性を別の角度から検討することを予定している。また今回の結果に関しては、海外の研究協力者らと検討を行い、国内外の学術雑誌に公表するとともに、研究知見の医療現場での利用の促進を促すこととする。