研究課題/領域番号 |
17K19796
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
佐々木 明子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 教授 (20167430)
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研究分担者 |
中野 正孝 鈴鹿医療科学大学, 看護学部, 教授 (00114306)
照沼 正子 東都医療大学, ヒューマンケア学部, 教授 (20285232)
森田 久美子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 准教授 (40334445)
金屋 佑子 了徳寺大学, 健康科学部, 講師 (60755205)
野村 政子 東都医療大学, ヒューマンケア学部, 講師 (70739391)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 家庭訪問 / 記録 / 電子化 / 地域保健活動 / 保健師 / 成果 |
研究実績の概要 |
全国の市区町村保健師が行う家庭訪問に焦点を当て、現在活用している訪問記録の内容と方法、訪問記録の電子化の実態を明らかにした。 1.郵送調査:2018年に全国1,741市町村及び特別区23区の保健部門および高齢者保健福祉部門にて家庭訪問に従事する保健師3,482名を対象に、郵送無記名質問紙調査を実施した。618件の回収を得た。有効回答数は603件であった。2.インタビュー調査:質問紙調査票の返信があった市区町村のインタビュー調査協力可能者のうち、先駆的に家庭訪問記録の電子化を実施している、または電子化を導入したいと考えている市区町村に勤務する保健師を対象に、研究者が各市区町村を訪問し、家庭訪問記録の電子化の現状、課題、今後の方針などについて、半構成的面接法で個別インタビューを実施した。録音内容から逐語録を作成し、分析を行なった。質問紙調査において所属部門別では介護保険部門等のほうが保健部門等より電子化は進んでいたが、「全て電子化」と「一部電子化」を合わせても、介護保険部門等68.5%、保健部門等39.7%、全体で47.3%であり、電子化が進んでいない実態が明らかとなった。また、電子化のピークは2006 年と2017 年にあり、急速に電子化が進んでいる状況にはなかった。インタビュー調査において家庭訪問記録の電子化を導入済みの自治体では、事例のアセスメントが容易にでき、記録や情報処理の効率化、情報の共有化などが図られ、効果的な保健活動につながっていた。これらは電子化導入希望自治体の期待する効果と一致していた。電子化導入済み自治体の課題として、個人情報保護上の規制や職務上の規制、制度上の限界のほか、紙媒体と電子記録の二重化、システム維持・更新の費用など運用上の課題があった。家庭訪問記録の電子化を推進するには、電子化における効果や課題をふまえて、よりよい方法を開発する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全国1,741市町村及び特別区23区の保健部門および高齢者保健福祉部門にて家庭訪問に従事する保健師3,482名を対象に、郵送無記名質問紙調査を実施した。さらに、質問紙調査票の返信があった市区町村のインタビュー調査協力可能者のうち、先駆的に家庭訪問記録の電子化を実施している、または電子化を導入したいと考えている市区町村に勤務する保健師を対象に、研究者が各市区町村を訪問し、家庭訪問記録の電子化の現状、課題、今後の方針などについて、半構成的面接法で個別インタビューを実施できた。そのことで、全国の市区町村の家庭訪問記録の電子化の実態が明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
郵送法による質問紙調査のデータ分析を引き続き行ない、全国の市区町村における家庭訪問記録の現状と、電子化の実態や課題を明らかにする。さらに、先駆的に電子化を進めている市区町村や今後積極的に電子化を推進する予定の市区町村において、インタビュー調査に同意が得られた保健師に対し、インタビュー調査を引き続き実施する。これらの質問紙調査とインタビュー調査の結果を基に、家庭訪問の成果を評価できる電子記録について開発を行い、協力の得られる市区町村で試行する。その結果を今後、学会、論文にて発表していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
全国の市区町村の保健師へのインタビュー調査を協力可能とされた市区町村に行う予定であったが、遠隔地であることと当該市区町村の都合等により、本年度中にすべての市区町村の訪問によるインタビュー調査を実施できなかった。そのため、未だ実施できていない市区町村のインタビュー調査を2019年度も引き続き行う予定である。インタビュー調査の調査旅費等に繰越金を使用する予定である。
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