研究課題/領域番号 |
17K19800
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
清野 由美子 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70737741)
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研究分担者 |
小山 諭 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10323966)
関井 愛紀子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60436772) [辞退]
井上 誠 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00303131)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 精神科 / 誤嚥性肺炎予防 / 摂食嚥下障害ケア / プログラム / 連携型 |
研究実績の概要 |
長期入院患者の高齢化や認知症患者の増加が進む精神科病院において、摂食嚥下機能評価やリハビリテ―ション的介入が積極的に行われているとは言い難い現状がある。本研究の目的は、誤嚥性肺炎予防のための精神科-身体科連携型の摂食嚥下障害ケアプログラムの開発と効果の検証を行い、精神科領域での摂食嚥下支援を促進させるためのシステムづくりへの示唆を得ることである。 平成29年度は7~8月に研究代表者の所属機関の倫理審査委員会で承認を得た後に、県内3地域の民間の精神科単科病院に研究協力を募り、15カ所から承認を得られた。9月~12月に研究代表者がこれらの施設を訪問し、NST等に所属する多職種53名を対象にフォーカスグループインタビューを行った。調査結果は研究分担者らと討議し、以下が明らかとなった。NSTの設置は約半数で、他は栄養委員会や褥瘡委員会と兼ねている施設も少なくなかった。構成職種は施設により異なり、管理栄養士・薬剤師・看護師は全てに配置されていたが、本来NST組織に必要な医師・検査技師・リハビリテーション職の不在が目立っていた。チームアプローチの視点から摂食嚥下状況の把握や低栄養の要因・方策の検討が十分に行われていない可能性が示唆された。多職種が抱く摂食嚥下支援に対する認識としては、現状に対するジレンマや提供しているケアの不確かさの存在が明らかとなった。平成30年度は、6月頃に倫理審査で承認を得られ次第、9月頃まで1施設で入院患者に対する摂食嚥下機能調査を実施する予定である。 なお,情報公開としては、平成29年度に日本精神保健看護学会学術集会および日本精神科看護専門学術集会にて発表し、日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌に投稿・採否結果待ちである。平成30年度は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術集会に演題登録・結果待ち、新潟看護ケア研究学会学術集会に演題登録する準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画では、平成29年度に入院中の精神疾患患者を対象とする摂食嚥下機能の調査を行い、年度内に精神科単科病院における実態調査を終える予定であった。しかし、患者調査の前のNSTメンバーが行う摂食嚥下支援の実態調査において予定を上回る対象施設・対象者から協力が得られたことと、平成29年度末に研究分担者1名が退職したため、データ収集および分析に時間を要した。現在、当初の予定より6か月程度遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
計画では、平成30年度中に精神科単科病院内でNSTメンバーを中心とする摂食嚥下支援体制の基盤づくりを行う予定であり、そのための基礎資料として対象施設で提供されている具体的なケアや支援、患者の摂食嚥下の実態を把握する必要がある。今後の推進方策として、精神疾患を持つ患者に対する嚥下機能検査(改訂水飲み検査や反復唾液検査)は患者が抵抗感を抱きやすいため、関係性を構築しながら調査にあたれるよう、精神科単科病院の看護師から研究協力者として参画してもらう必要がある。また、データ収集時や解析時は、歯科医師である研究分担者から協力を得て平成30年度内には調査結果をまとめ、NSTメンバーを中心とする摂食嚥下支援体制の基盤づくりに着手できるようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、平成29年度に入院中の精神疾患患者を対象とした摂食嚥下機能に関する調査を予定しており、データ収集・集計の為の人件費や、その後の研究分担者との会議費・学会参加の為の旅費等に使用する予定であった。しかし、前述の患者調査を平成30年度に実施することになたため、次年度使用額が生じることになった。患者調査の研究計画は、平成30年5月現在、倫理審査中であり、6月頃に倫理審査で承認が得られ次第、データ収集を開始し、人件費や旅費・会議費等として使用する予定である。
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