研究課題
我々は、すでに覚醒剤を連続投与したマウスの脳組織から取り出した遺伝子(DNA)と血液から抽出したDNAの両方で、Shati/Nat8lの遺伝子のプロモーター部位のメチル化(遺伝子修飾の1つの種類)が減少していることを見出している (Uno et al Plos One,e0167959, 2016)。脳組織については、これらが、覚醒剤投与によるShati/Nat8lの発現量の増加のメカニズムの少なくとも一部は、本遺伝修飾が関連していることが示唆されている。加えて、精神疾患患者血液のDNAでもメチル化が変化していることも明らかにしている。近年、薬物乱用者も精神疾患の1つとしてとらえられるようになってきていており、治療の観点からのアプローチがなされつつある。覚醒剤依存患者の診断や予防方法を確立する方法が見出すことが本研究の目的である。しかしながら、臨床研究に協力し、血液や遺伝子の提供に同意をくださる方が、他の疾患と比較して格段に少なく、個人情報保護法や倫理的、加えて科学的な観点からも適切にサンプルを収集しているのは、我国では、東京都総合医学研究所の池田和隆博士のグループのみである。そこで、研究代表者の研究室のスタッフと大学院生が実験に必要な機器や試薬を運搬し、東京都医学総合研究所で協力研究者や研修生の手続きをとり、1カ月期間滞在の上、実験を実施した。DNAをバイサルファイト法にて、処理を行い、パイロシークエンサーで解析を行った。その結果、Shatiのプロモーター部位の特定のCpGアイランドで覚醒患者では、有意にメチル化の割合に変化があることが明確となった。今後、本研究を拡大することによって、依存性を持つ可能性の高い患者や、治療過程にある患者に対して、予防や治療効果に活用できるように対象者を増やした臨床研究に結び付けていきたいと考えている。
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Addiction Biology
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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Behavioral Brain Research
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