研究課題/領域番号 |
17K19806
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
平工 雄介 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (30324510)
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研究分担者 |
岸 玲子 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, センター特別招へい教授 (80112449)
佐田 文宏 中央大学, 保健センター, 嘱託医師 (90187154)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 喫煙 / 低体重出生 / マイクロRNA / リスク評価 / 慢性疾患 / DOHaD |
研究実績の概要 |
近年、我が国では低出生体重児が増加している。妊娠中の喫煙は低出生体重の最も重要な原因のひとつである。出生コホート研究では、妊娠中に喫煙していた女性において、非喫煙者に比べて児の出生時体重が有意に少なくなることが報告されている。またこれまでの疫学研究の結果から、胎児期の発育遅延が成人期の高血圧や糖尿病などの慢性疾患の危険因子になるという概念(DOHaD仮説)が提唱されている。マイクロRNA(miRNA)とは、標的遺伝子の発現を抑制して様々な疾患に関与する短いRNAであり、その発現は化学物質の曝露などの環境因子による影響を受ける。血液中のmiRNAは様々なヒト疾患の新規バイオマーカーとして注目されているが、母子保健領域でmiRNAを疾病のリスク評価に応用する道筋は立っていない。本研究では、研究分担者の岸が主宰する北海道スタディに参加した妊娠後期女性(喫煙者および非喫煙者が各8例、計16例)の血漿におけるmiRNAの発現量への喫煙の影響および児の出生時体重との相関について解析した。その結果、マイクロアレイ解析で児の出生時体重と正の相関を示すmiRNAを見いだしたが、リアルタイムPCRでは一致する結果が得られなかった。その理由として、採血時に使用したヘパリンがリアルタイムPCRにおけるポリメラーゼの活性を阻害するためであると考えられた。そのため、生体試料として出産時に得た全血を利用することとし、喫煙者および非喫煙者の各8例から試料を収集した。今後は、全血中のmiRNA発現に対する喫煙への影響および児の出生時体重との相関を解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
妊娠女性の血漿miRNAの発現量を解析したところ、マイクロアレイ解析とリアルタイムPCRで一致した結果が得られなかったため、出産時に得た全血を用いて同様の解析を行う計画を立案した。しかし、研究代表者の平工が年度途中で福井大学に異動したため、新たな研究室の整備が必要となり、生体試料の解析を行うための準備に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は出産時に得た全血におけるmiRNA発現の解析を行い、喫煙による影響および児の出生時体重との相関を解析する。既に全血からRNAを抽出するキットを購入し、解析を行う準備を進めている。まず少数の検体におけるmiRNA発現を解析し、その結果に基づいて例数を増やして解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者が当該年度に必要とする経費が予定よりわずかに少なくて済んだため、一部を次年度に持ち越すこととなった。持ち越した金額は、次年度消耗品の購入に使用する予定である。
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備考 |
現在、ホームページを作成中である。
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