研究課題/領域番号 |
17K19810
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
磯 博康 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50223053)
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研究分担者 |
山岸 良匡 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (20375504)
日和佐 隆樹 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (30260251)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 予防医学 / 疫学 / 症例対照研究 / 自己抗体マーカー / 脳梗塞 |
研究実績の概要 |
血清自己抗体は個人の病歴を反映しており、疾患が発症する前に存在する抗体が明らかになれば、疾患の発症予測マーカーとしての活用が期待される。既にがんや自己免疫疾患については特異的な自己抗体が出現することが報告されているが、動脈硬化性疾患については自己抗体が関与するという着想はこれまで乏しく、厳密な疫学手法を用いた脳梗塞の発症に関与する自己抗体マーカーの包括的な解明は皆無であった。そこで本研究では、日本人において最も多い動脈硬化性疾患である脳梗塞の症例と一般健康住民である対照について、過去の凍結保存血漿中の動脈硬化候補マーカーの抗体レベルをハイスループットELISAであるAlphaLISA法により網羅的に測定する。そして、nested case-control studyの手法を用いて、従来の危険因子や生活習慣の影響を考慮して、脳梗塞の発症との関連を分析する。最終的には、脳梗塞の予測能を従来の危険因子に基づくモデルと比較し、抗体マーカーを含めた予測モデルの優位性を検証した上で、新たな脳梗塞発症予測モデルを開発することを目標とする。 本研究課題の達成のため、平成29年度は次の成果が得られた。(1)脳卒中の発症の把握:全脳梗塞の発症992例のうち、血漿が保存されている375例を同定し、対照を性、年齢、地域をマッチさせ、症例1 に対し対照1 の割合で無作為選定した。(2)動脈硬化候補マーカーの測定:上述の症例・対照の375例については、AlphaLISA 法により、血清と抗原の2 種類のビーズを混合してから7日後、14日後、21日後の血清の抗体レベルの測定が完了した。(3)動脈硬化候補マーカーと脳梗塞リスクとの関連分析:(1)(2)で得られた成果から、動脈硬化候補マーカーの抗体レベルと脳梗塞リスクとの関連について予備解析を進めている。特に顕著な関連が見られた一部のマーカーについては特許申請を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度実施予定であった脳梗塞の発症把握を計画通りに遂行した。また、把握された症例とその対照について、動脈硬化候補マーカーの測定を行った。 動脈硬化候補マーカーと脳梗塞リスクとの関連については、予備解析により有用なマーカー候補が一部発見されたことから、脳梗塞の発症予測マーカーとしての技術と信頼性の確立のため、特許申請を行ったところである。さらに例数を増やした測定と分析を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
分析の状況に応じて、検出力によっては症例・対照を増やす計画である。並行して、今年度までに測定された症例375 例・対照375 例に対して、動脈硬化候補マーカーの抗体レベルと脳梗塞リスクとの関連について、生活習慣(喫煙、飲酒)や健診成績(高血圧、糖尿病、高脂血症、Body Mass Index、CRP、ホモシステイン)の影響を統計学的に調整して分析する。さらに、脳梗塞を穿通枝型(日本人に伝統的に多い細動脈硬化を主体とする病型)と皮質枝型(欧米に多い大血管の粥状硬化を主体とする病型)に分けた分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
検体の測定を次年度に実施することとなったため。
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