研究課題
血清自己抗体は個人の病歴を反映しており、疾患が発症する前に存在する抗体が明らかになれば、疾患の発症予測マーカーとしての活用が期待される。既にがんや自己免疫疾患については特異的な自己抗体が出現することが報告されているが、動脈硬化性疾患については自己抗体が関与するという着想はこれまで乏しく、厳密な疫学手法を用いた脳梗塞の発症に関与する自己抗体マーカーの包括的な解明は皆無であった。そこで本研究では、日本人において最も多い動脈硬化性疾患である脳梗塞の症例と一般健康住民である対照について、過去の凍結保存血漿中の動脈硬化候補マーカーの抗体レベルを高感度ELISAであるAlphaLISA法によりハイスループットに測定し、nested case-control studyの手法を用いて、脳梗塞の発症との関連を分析した。本研究課題の達成のため、血漿が保存されている脳梗塞の発症375例と、性、年齢、地域をマッチさせ、1対1 の割合で無作為選定した対照375例について、AlphaLISA 法により、血清と抗原の2 種類のビーズを混合してから7 日後、14 日後、21 日後の血清の抗体レベルを測定した。昨年度までに、測定日ごとの抗体レベルについて1標準偏差及び4分位あたりでの脳梗塞発症リスクとの関連を分析した結果、複数の抗体について発症予測マーカーとしての活用可能性が見出された。令和元年度は脳梗塞発症リスクとの関連が明らかとなったマーカーについて順次論文にまとめ、現時点で2報を国際学術専門誌へ投稿中である。また心筋梗塞発症に関しても試行的な分析を行った。
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