研究課題
本研究の目的は、近い将来に高額な医療費を消費することになる後期高齢者を的確に抽出し、ニーズに適合したサービスを提供する、医療保険者の機能を強化したシステムの構築を目指すものである。そのために、(1)後期高齢者の入院の原因となる疾患や状態について、法令で定められた健診項目にこれらリスクの特定につながる健診項目を追加し早期発見を行い、リスクを有する人(異常値を有する人)をかかりつけ医や地区担当保健師に結び付け、また保健指導を行い、リスク回避を図るものである。また、(2)この介入効果について健診結果や医療レセプトで確認するものである。実施においては、健診結果と併せて具体的な注意喚起を記載したリーフレットを参加者に送付し、その後、電話により健診結果説明会への参加を促した。加えて、未受診者や認知機能低下者を医療機関や行政サービスにつないだ。さらに、行動変容を起こしたかどうか/受診につながったかどうかを1-2ヶ月後に電話により確認を取った。2019年度は、呉市内6地区、後期高齢者335人の参加同意を得た(うち2人はデータ欠損のため分析から除外)。75歳-79歳(65.2%)、80歳-84歳(26.1%)、85歳-89歳(7.5%)、90歳以上(4人)であった。健診結果は、認知機能低下者は20人(6%)、転倒リスク者は18人(5.4%)、腎機能低下者(ステージ3b期、4期、5期)は31人(9.3%)、心不全が疑われる者(NT-proBNP 125pg/ml以上)は126人(37.8%)であった。また、他の追加健診項目においても知見が得られた。参加者323人に対し、面談(76人)と電話(247人)にて結果の伝達と受診勧奨(26人)、保健指導(240人)を行い(69人はデータ異常なく、指導なし)、127人に新たな行動変容が観察された。レセプトと健診データの突合分析は、これから実施する。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
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