研究実績の概要 |
当教室ではこれまで診療報酬記録を用いて2008-2010年における肝疾患関連患者数の推計を行なってきた(Hep Res 2015;45:1228-1240.)。本研究では診療報酬記録を再構築・再分類することによって2014-2016年において、我が国における肝疾患関連患者数を推計すること、および、診療報酬記録を用いて我が国における肝炎ウイルス由来の肝疾患関連患者の重複疾患の分布・頻度を病因別に明らかにすることを目的とした。 健康保険組合に属する3,462,296人が有する2014-2016年における診療報酬記録77,773,235件を解析対象として肝疾患関連疾患病名を持つ患者の全レセプトを抽出した。抽出したレセプトデータから同一患者のデータを診療年月順に並べ、診療行為・薬剤の情報から疑診例及び検査目的のものを除いた。また、複数の記載がある標準病名をもとに再構築を行い、各患者の全期間のレセプトデータを考慮した上で、患者ごと標準病名から再分類コード名(肝炎ウイルスに関するコード名はウイルス肝炎のキャリア、慢性肝炎、肝硬変、肝癌、急性肝炎、脂肪肝とし、病因別に集計可能とした。)を1つ決定し、2014-2016年における3年期間有病率をそれぞれの疾患ごとに性・年齢階級別に算出した。 対象3,462,296人のうち、HBV関連患者数は9,067人、HCV関連患者数は4,668人であった。HBV・HCV関連患者の持つ全レセプトから重複疾患をICD10大分類別に集計した。ICD10大分類別にみた重複疾患の頻度上位3位はHBV・HCV共に「呼吸器系の疾患」、「内分泌、栄養および代謝疾患」、「筋骨格系および結合組織の疾患」であった。
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