研究実績の概要 |
近年の日本において、様々な災害が発生している。その中で、医師の果たすべき役割は、診療行為のみならず、多岐にわたる。様々な災害発生時において、災害支援を含め、医師の行動に影響を及ぼす要因を明らかにする。熊本地震の経験をもとに、「熊本地震における医療支援活動の振り返りと、今後への提言」に関して、九州各県の医師会員にアンケート調査を行った。送付総数10,000 通の約30%から返答を得た。 災害支援活動のための準備状況について、熊本の医師(K 群)は、九州他県の医師(O 群)と比べ、有意に高い割合で肯定的に答えていた。周囲のサポートについても、K 群はO 群と比べ、有意に高い割合で肯定的に答えていた。支援の参加に重要である、影響を与えると思われる要因について、O 群はK 群と比べ 所属組織の方針、上司の理解、同僚の協力など、自身の経験だけではなく、支援へ参加するためには、周囲の様々な要因から影響を受ける可能性が伺われた。 これからの支援活動に関して、自然災害については、地震を除き、K 群とO 群で、支援についての意思に明らかな違いを認められなかった。人為災害についても、テロを除いてK 群とO 群に回答の違いはなかった自然災害と比べ、人為災害への支援に参加する可能性は低いと思われた。今後、支援に行くことが可能な長さについて、3 日以内が40%であり、一週間以内を加えると計80%であった。多くの人たちには、最高一週間が現実的に支援可能な期間であると思われる。K 群はO 群と比べて、積極的に災害支援に参加する意思を示していた。自然災害の被災経験者の割合も高く、これらは熊本地震を経験した影響による可能性があろう。また医師としての経験年数が浅いと、より積極的に支援に参加する可能性が示された。 災害時の支援に影響を与える可能性がある、様々な要因が示された。
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