研究課題/領域番号 |
17K19824
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
上床 太心 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (50709350)
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研究分担者 |
郡山 千早 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30274814)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2023-03-31
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キーワード | 認知機能 / 認知症 / 自動車運転 / 多職種協働 / 地域包括ケア |
研究実績の概要 |
日本安全運転・医療研究会に出席するなど関連研究や状況を整理した。各地域は認知機能低下疑い者の自動車運転問題に苦慮している。令和4年中には地域包括支援センターの通報で警察が診断書提出命令を発出できる見込みだが、新たな課題も予想され引き続き問題は山積している。 主研究「多職種協働による地域高齢者の認知機能評価・自動車運転技能評価およびそれを活用した包括的な支援の効果の検証」については、高齢者運転事故の社会問題化で繊細な状況となり、計画より規模を縮小しモデル地域高齢者クラブの協力で調査を開始した。しかし初回調査直後にCOVID-19の影響で中断、再開を申し入れたが再拡大反復で一旦は調査再開を断念した形である。 そこでCOVID-19小康期を中心に、協力可能な個人を対象とした散発的な調査を実施した。対象者は認知機能や運転に懸念をもつ者や軽度認知機能障害(MCI)者が多く、これらにタッチパネル等を用いた認知機能検査と、既年度開発済の運転シミュレーター課題を実施し、それに基づき医師、ソーシャルワーカー等が助言を行った。令和3年度までに計12名を調査し予備的知見を得た所である。対象が少なく量的解析はできないが、印象は以下の通り。 初期の認知機能低下検出にはTrail Making Testが有効。ただ注意機能低下者でも、低速走行できれば運転成績が良い者がおり判断に悩む事例がある。机上検査で認知機能障害が軽度でもシミュレーターで目的地を失念するなど、机上検査と運転時の乖離が散見された。 参加者への調査後の助言は、単発では効果が明確でないが、時間をおいて複数回繰り返した所、4名が運転免許を自主返納するなど、運転について考え注意する機会となる等の効果が窺えた。助言の場は運転に限らず生活全般が議題となる。自主返納者には閉じこもりやフレイル対策の助言が必要。反復・継続的な多職種協働が鍵である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
主に新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、当初計画していた高齢者団体への調査が中断。再開を申し入れるも先方の意見集約が進まず進展しなかった。協力意思を示して下さった個人を対象に散発的な調査を実施しているが、小康期が短く調査時期が限られ、次の小康期まで延期している事例もある。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染状況をみながら高齢者団体への調査再開の道を探りつつ、協力いただける個人への散発的な調査も時期をみて実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた調査が新型コロナ感染症拡大のために十分に進捗せず次年度使用額が生じた。感染状況が緩和したタイミングで実施する調査の費用とする計画である。
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