研究課題/領域番号 |
17K19827
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
臼倉 京子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (90433169)
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研究分担者 |
常盤 文枝 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (00291740)
藤縄 理 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (00315722)
菊本 東陽 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 講師 (30550735)
星 文彦 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (40165535)
金 さやか 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (50736585)
張 平平 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (90436345)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 通所介護 / 生活行為 / マネジメント |
研究実績の概要 |
通所介護は、介護保険利用者の3人に1人が利用し、在宅介護を支える大きな柱の一つである。そこでは、必要な日常生活上の世話をするとともに、生活機能の維持及び向上を目指した効果的な機能訓練が求められる。しかし、生活行為を視点とした機能訓練の実施数、内容、効果は十分とはいえない。本研究では通所介護における生活行為向上に関するサービスの実態を明らかにし、その質を評価するとともに、生活行為向上を視点とした総合的な介護マネジメントモデルを開発することを目的とする。 平成29年度は、通所介護における生活行為向上への取組に関する、Ⅰ.データベース分析、Ⅱ.フィールド調査を行った。 Ⅰ.データベース分析:介護サービス情報公表システム(厚生労働省・都道府県)から、9都道府県を選択し、個別機能訓練加算Ⅱを届けている通所介護事業所を対象とした。分析項目は、設置主体、規模、定員等の基本情報、職員体制(職種、常勤換算数、機能訓練指導員の資格、雇用形態、業務形態等)、利用登録者数、加算の届出状況等とし、データの整理を終え、1県について探索的に解析を進めている。 Ⅱ.フィールド調査 1.パネル調査:個別機能訓練加算Ⅱを届け出ている3県の通所介護事業所を調査対象とし、利用者(認知症は除く)及び機能訓練指導員に、郵送法を用い1回目の調査を実施した。調査内容は、利用者の基本情報(年齢、要介護度、心身機能、入院・通院状況、利用サービス等)、ADL、IADL、社会参加、生活満足度等、機能訓練アセスメント、計画、実施、評価等とした。 2.事例調査:1)ヒアリング調査;通所介護事業所の利用者(又は家族)と機能訓練指導員に個別機能訓練加算Ⅱに関して、ヒアリングによる予備調査を実施した。2)視察調査:先進的な取組を実施している国内の施設(大分県、千葉県)を視察し、生活行為向上に資する具体的なプロセスや運営条件など関連要因を探索した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度は、Ⅰ.データベース分析、Ⅱ.フィールド調査を行った。 Ⅰ.データベース分析:データの整理が終わり、データの整理を終えた。対象の1県については分析を実施中であるが、他の対象とする都道府県の解析には至っていない(やや遅れている)。 Ⅱ.フィールド調査:1.パネル調査;パネル調査の第1回目を行った。2回目は平成30年度前半に行う予定である(おおむね順調に進展している)。2.事例調査:1)ヒアリング調査;通所介護事業所の利用者と機能訓練指導員に個別機能訓練加算Ⅱに関して、ヒアリングによる予備調査を実施した(おおむね順調に進展している)。(2)視察調査は、国内の2施設に行ったが、国外の先進事例についての探索が不十分であったため国外視察までには至らなかった(やや遅れている)。 。
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今後の研究の推進方策 |
Ⅰ.データベース分析:現在、探索的に分析中の1県の傾向を基に、他の都道府県についても分析を進め、通所介護事業所の生活行為向上への取組と運営条件、地域特性等との関係を検討する(平成30年度内)。 Ⅱ.フィールド調査:1.パネル調査;平成30年度前半に2回目の調査を行い、介護のプロセス、内容、効果について総合的に分析し、効果的なマネジメントモデル開発のための基礎資料とする(平成30年度内)。2.事例調査:1)ヒアリング調査;パネル調査終了後、その一部の通所介護事業所の利用者と機能訓練指導員に個別機能訓練加算Ⅱに関して、ヒアリング調査を行う(平成30年度内)。2)視察調査;国内・国外の先進事例を探索し、生活行為向上への取組等について視察を行う(平成30年度内)。1)2)から通所介護における生活行為向上に関する要因を質的に分析する。 また、現場で活かせるマネジメントモデルを開発するには、通所介護事業所の機能訓練指導員や行政職員等と検討することが必要と考え、検討委員会の立ち上げを新たに計画中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、平成29年度においては本研究が挑戦的研究(萌芽)で採択される前から、埼玉県立大学研究開発センターPJB研究の助成を受け進めていた。そのため、一部の調査に関する費用はそちらから助成を受けた。また、パネル調査の2回目は次年度としたことや、海外視察は実施しなかったこと等にもより、繰越金が生じた。 今後の使用計画としては、データベース分析では、現在探索的に分析中の1県の傾向を基に分析内容を整理・提示し、業者に分析を依頼する(データ分析外注費)。パネル調査では、2回目を平成30年度前半に予定する(通信運搬費、調査協力者への謝礼品、データ・資料整理補助者への謝金等)。パネル調査対象の一部の利用者及び機能訓練指導員には、ヒアリング調査を予定する(旅費、調査協力者への謝礼品、データ・資料整理補助者への謝金、テープ起こし外注費等)。視察調査では、国内・国外視察を実施予定である(旅費)。他、検討委員会の立ち上げ予定である(委員や講師への謝金、データ・資料整理補助者への謝金、旅費、会議費、通信運搬費等)。
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備考 |
臼倉京子、常盤文枝、星文彦、張平平、菊本東陽、藤縄理、金さやか:通所介護における生活行為の向上を視点としたマネジメントに関する研究、埼玉県立大学研究開発センター年報、2、27-28、2017
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