研究課題
全国の介護支援専門員対象に調査したところ、多重介護の関わりが有る居宅介護支援専門員は80%以上であり、多重介護経験件数の平均は6.32件、多重介護のパターンは「介護+介護」が72.7%と最も多く経験していた。5人・6人の被介護者がいる介護内容について、それぞれ主介護者や被介護者の年代や健康状態は異なるが、全ての事例において被介護者に子供や孫が含まれており、介護と子育てを同時に行っていた。本研究で明らかになった多様な介護形態と、主介護者がおかれた環境についての知見から関係職種との連携や主介護者が一人で抱え込み、孤立しないような関わりが重要であるとの示唆を得た。この結果を基に、2020年3月に公開シンポジウム「高齢者介護を取り巻く多重介護の課題と対応」を実施した。前述した研究結果を報告するとともに、シンポジストとしてダブルケアに関する研究の第一人者である横浜国立大学相馬直子教授には高齢者介護家庭を取り巻く現状についてダブルケア研究者の立場から、また医療が必要な高齢者介護の多重介護の実態と課題については、介護支援専門員、訪問看護師、老人専門看護師として退院支援に携わっている看護師より支援経験のある多重介護のケースの実際や支援内容についての紹介、また地域でどのような支援体制を構築しているかの実際について等の講演を行ってもらい、それらの発表内容をもとにディスカッションを行った。このシンポジウムの結果から、少なくとも1人の高齢者を介護している多重介護家族に対し、様々な立場で支援を行っており、領域の枠を超えて課題を共有することによって解決策を見出したり、また、支援の場を広げていくことができる可能性があることが示唆された。また、多重介護者の課題の1つに縦割り制度の弊害もあり、現行の制度の枠を超えてどういう制度が必要か検討していくことも重要であることが示唆された。
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https://www.yokohama-cu.ac.jp/nur/dn/rounen/n8ncn20000001uru.html