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2017 年度 実施状況報告書

慢性腎臓病の個別化予防実現へ向けたゲノム・メタボローム疫学研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K19838
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

武林 亨  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (30265780)

研究分担者 原田 成  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (10738090)
研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2019-03-31
キーワードメタボロミクス疫学 / ゲノム疫学 / 個別化予防医療 / GWAS
研究実績の概要

本研究では、我々がこれまでの研究で蓄積してきた大規模メタボローム・プロファイル・データを活用して、遺伝子多型と随時尿メタボロームの関連を明らかにすることを目指している。広く日本人における遺伝子多型の差が腎排泄を含む体内の代謝動態に与えている影響を、随時尿メタボロームの反映を通して理解することを目的として、大規模随時尿メタボロミクスが測定済である対象者において、GWASの実施を進めている。GWASの実施にあたっては、リソースの関係上、4200検体すべてについてGWASを行なうことは難しいことから、検出力を高めるために適切なサンプリングを行って200検体を抽出することを計画した。そのための事前検討を行った結果、少数の検体から有意な結果を得るためには尿メタボロームが特に精度が高く測定されている検体を抽出し、その検体を選択的にサンプリングする必要があると考えられた。
したがって平成29年度においては、尿メタボロームの測定精度を検討し、測定バッチごとの測定値の分布から、特に測定精度が高いと考えられる測定バッチ・検体を抽出し、その上で、50歳以上の男性で前日・当日に飲酒・喫煙を行っていない対象者について、eGFR値に基づいて層化したランダムサンプリングを実施した。
サンプリングされた対象者のDNAはすでにバフィーコートから抽出済であり、平成30年度に速やかに遺伝子解析を行い、当初の目的の遂行を進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成29年度は、遺伝子解析を行なう対象者をサンプリングするとともに、遺伝子解析用チップを使用して遺伝子解析を開始する計画を立てていた。
しかし、遺伝子解析用チップが値上げされたことから、予定していた遺伝子解析用チップを必要な対象者数分購入することが困難であることが判明した。したがって、より小さなサンプルサイズで必要な結果を得るための方法を模索し、平成29年度は尿メタボロームの測定精度の検討を行い、より測定精度の高い検体群を抽出することに成功した。
さらに、平成30年度にはより安価な東アジア人用の遺伝子解析用チップが発売される見込みであることが判明したため、これを利用して遺伝子解析を行い、同等の費用でより大きなサンプルサイズを得る計画に変更した。

今後の研究の推進方策

従来より安価な東アジア人用の遺伝子解析用チップを使用して、サンプリング済の対象者のバフィーコートから抽出済のDNAの遺伝子解析を実施する。遺伝子解析が終了次第、①ゲノム-メタボロームの関連解析、②腎機能についてのGWAS、③腎機能の尿メタボロームの関連解析、④上記の解析結果の他集団でのバリデーションと順次進める。①から④を実施するために必要なデータは、遺伝子データ以外はすでに得られているため、遺伝子解析が終了次第、速やかに必要な関連解析およびバリデーションを進めることができる。
①ゲノム-尿メタボローム解析:個々の尿代謝物濃度を目的変数とした解析により個々の代謝物と関連する遺伝子多型をそれぞれ明らかにする。通常のボンフェローニ法による検定多重性の調整に加えて、BH-FDR 法による検定多重性の調整を実施。
②腎機能についてのGWAS 解析:eGFR を目的変数とした解析を行い、腎機能と関連する遺伝子多型を明らかにする。また、既知の腎機能関連遺伝子多型候補リストを作成する。
③腎機能と尿メタボローム解析:a)主成分分析法、OPLS 回帰分析法、OPLS 判別分析法およびパスウェイ解析により、腎機能と関連する尿中代謝物質を明らかにし、これらの含まれる代謝経路を明らかにする。b)3-2)で候補に挙げられた遺伝子多型やその組み合わせにより層化して①と同様の解析を実施し、遺伝子多型による代謝の違いを検討し、それぞれの遺伝子多型について腎機能との関連においてキーとなる代謝物質ならびに代謝経路を明らかにする。
④解析結果のバリデーション:連携研究者(防衛医大 松尾洋孝講師)がGWASを実施している健常男性の集団において、①から③の解析を同様に実施する。

次年度使用額が生じた理由

7.現在までの進捗状況で記したとおり、当初予定より遺伝子解析用チップが値上げされたことから、予定していた遺伝子解析用チップを必要な対象者数分購入することが困難であることが判明した。したがって平成29年度はより小さなサンプルサイズで必要な結果を得るための方法を検討し、平成30年度に遺伝子解析を行なう計画とした。
さらに、平成30年度にはより安価な東アジア人用の遺伝子解析用チップが発売される見込みであることが判明したため、これを利用して遺伝子解析を行い、同等の費用でより大きなサンプルサイズを得る計画に変更した。本年度の上半期に、本研究費の大半を使用して遺伝子解析チップを可能な限り購入し、遺伝子解析を実施する計画である。

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公開日: 2018-12-17  

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