本研究の目的は、大規模メタボローム・プロファイル・データを活用して、遺伝子多型と随時尿メタボロームの関連を明らかにすることである。その際、尿中メタボロームデータの測定に関する信頼性の評価を行う必要性が明らかとなったため、最終年度に、尿中メタボローム測定の信頼性評価を追加して実施した。検討の結果、CE/MS法による尿中メタボローム測定の信頼性評価は、血漿のメタボローム測定と比較してもCVは良好で、本測定系の再現性は高いと考えられた。ゲノム-メタボローム関連解析では、サンプルサイズが小さく、他方でゲノムとメタボロームの双方の変数が多いことから、多重比較調整のペナルティが非常に大きかったことから統計学的に有意な結果は得られなかったが遺伝子-代謝物の関連の強さのランキングからは、これまでの知見が再現されていることが示唆される知見、さらに本研究に特異的だと示唆される知見が得られており、本研究を継続する意義は大きいと考えられた。また、腎機能とGWASの関連についても検討し、同様にサンプルサイズの限界が大きかったが、得られた関連のランキングからは、既存の知見と矛盾のない結果が得られ、本研究の方法の妥当性が確かめられた。
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