本研究は、誤嚥性肺炎患者の再入院予防を目的として、退院後早期の誤嚥性肺炎患者と家族に対する心身データの在宅モニタリングおよび遠隔看護保健指導、かかりつけ医と看護モニターセンターの連携体制で構成するテレナーシングシステム開発、および入院中における介護指導、在宅モニタリング項目の評価方法、遠隔看護保健指導で構成される看護プロトコル開発を行うものである。2019年度は、開発したテレナーシングシステムを用いて、誤嚥性肺炎で入院し退院した高齢者を対象に、ユーザビリティおよび有用性の検討を行った。 対象となった誤嚥性肺炎患者に、本研究課題で開発したテレナーシングシステムを退院日から30日間使用してもらい、送信された血圧等の心身データが異常値に該当した場合は、開発したテレナーシングプロトコルに基づいて電話やビデオ通話により状態の確認と看護保健指導を行った。 対象となった誤嚥性肺炎患者は80代男性3名で、全員軽度認知症があり、独居1名、配偶者と同居2名であった。テレナーシングの使用日数は平均22日(73.3%)で、データ異状値該当日数は平均2.8日(9.3%)であった。データ異常値の理由は、高体温、息切れ等であったが、テレナーシング実施期間中に医療機関の臨時受診や再入院等はなかった。テレナーシング終了後に実施した使用感に関するインタビューでは、「毎日体温や血圧を測る習慣がなかったが、動機付けになった」、「困ったことを看護師に相談できてよかった」、「操作が煩わしいと思う日もあった」などの感想が述べられた。以上より開発したテレナーシングシステムは、認知症等を有する高齢者に対してはユーザビリティに課題があるものの、退院後の高齢者の支援に有用である可能性が示唆された。
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