研究課題/領域番号 |
17K19842
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
阿部 幸恵 東京医科大学, 医学部, 教授 (20449218)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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キーワード | シミュレーション教育 / アクティブラーニング / 看護教育 / 看護学生 / 看護師 |
研究実績の概要 |
本研究では、看護師の臨床判断力を強化するためのアクティブラーニングを開発し、その学習効果を評価することを目的とする。アクティブラーニングは、学習者が能動的に学習に向かう学習方略である。看護学でも基礎教育や卒後教育において、その導入が進んでいる。このことから本研究では、能動的に学習する教育プログラムを開発し、そのプログラムを使用して、看護師に学習を行ってもらい、その効果を検証するものである。本研究の目的は、1.看護学生・看護師を対象として、臨床判断力の現状と課題を明らかにする。2.臨床判断力を強化するアクティブラーニング型教育プログラムの開発を行う。3.看護師を対象に開発した教育プログラムを実施し、その学習効果を明らかにする、の3点である。今年度は、2と3の目標達成を目指して研究を行ってきた。プログラムは、患者と患者のおかれている環境をどのように観察して、情報を得るのか、得た情報を専門的な知識に基づいて分析・解釈を行い統合的なアセスメントを導きだすとともに、患者関連図で患者の全体像を示す。そして、看護問題の抽出、個別性のある看護計画を立案するという過程を学ぶことのできるものである。教育プログラムの開発については、昨年度の呼吸器系、循環器系、内分泌系が各1症例、消化器系、脳神経系が各2症例の7症例に加えて、精神科、救命救急、整形外科、母性の4症例を開発した。目標3については、コロナウイルスパンデミックの影響で、実際に看護師に開発したプログラムを使っての学習を行い、効果を検証する実験ができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナウイルスのパンデミックの影響を受けて、看護師は臨床での患者対応を最も優先させることとなり、多くの時間外の研修が中止となった。そのような中、研究への協力を依頼することは倫理的にも難しく、本年度予定していた看護師の協力を得て、開発したプログラムを使用した学習を行い、その効果を検証する実験ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
教育プログラムは開発しているので、再延長する2021年度には、看護師らの協力を得て実験を行っていく。しかし、集合型の研修は、今だコロナウイルスの感染状況が改善していない中では難しいことから、プログラムをオンラインでできる形にする、1回の学習時間を15分程度のものとして1症例の学習が何回かで完結する形とするなど看護師が学習しやすい形に変えて、実験を行っていくように計画を変更する。また、コロナウイルスの感染状況では、参加する看護師の人数にも影響してくることが予想されるので、少人数で、質的な分析を行って、学習効果の傾向を明らかにすることも検討する。感染が落ち着いてからも継続していきたいテーマであるので、今後の研究につながる示唆や資料を得ていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスのパンデミックによる緊急事態宣言、臨床での対応が看護師にとって最優先となったことから看護師の協力を得て、開発した教育プログラムを使って学習し、その効果を検証する実験を行うことはできなかった。そのために、当初、計画していた研究費の使用ができずに次年度使用額が生じた。次年度は、看護師が、プログラムをオンラインで学習できるようにしていき、プログラムの効果を検証したい。次年度分の研究費については、1.オンデマンド教材を作成する。2.臨床で看護師たちがオンラインで研究者らと双方向的に学習するシステムを構築する。3.研究に協力してくれた看護師やオンデマンド教材作成を補助する者へ謝金を支払うという計画で研究を継続していく。
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