研究課題/領域番号 |
17K19845
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
秋吉 政徳 神奈川大学, 工学部, 教授 (20403040)
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研究分担者 |
真嶋 由貴恵 大阪府立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70285360)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 頻出パターンマイニング / サポートベクターマシン / 視線計測 / 薬剤注入圧力計測 / 作業画像 |
研究実績の概要 |
医療安全のためにリスクマネージャが対策を講じる際の重要な鍵となるものとして、看護チームの体制や作業ルールといった種々のデータに内在する現場暗黙知を、機械学習技術や IoT(Internet of Things)を駆使して抽出するフレームワークの確立を目的として、以下の内容を実施した。 「看護師シフトスケジュールデータ」と「インシデント発生日時データ」を紐付けた上で、頻出パターンマイニングやサポートベクターマシンといった機械学習技術の適用実験を行い、「看護師シフトスケジュールデータ」に内在する「類似性」と「頻出性」に関する特徴として、着目すべきものを検討した。この研究成果は、電子情報通信学会の「ヘルスケア・医療情報通信技術研究会」にて「インシデント発生につながる看護師シフトデータに関する考察」として講演発表した。 現場の「看護作業センシングデータ」の収集として、「静脈注射作業」を対象に、視線計測装置、注射器の注入圧の計測装置、心拍計測とともに、作業自体をカメラで撮影する模擬看護作業環境を構築した。薬液注入作業を側面から撮影した動画像から静止画に変換したのちに、画像認識処理によって注射器の注入角度を算出することが可能となり、日本看護協会が定める注射マニュアルの規範的データとの比較が容易にできるようになった。注射器の注入圧の計測結果に対しては、規範的圧力からの逸脱を容易に示す作業状況提示インタフェース画面も構築した。これらにより、「注射作業」の作業データを容易に収集することが可能になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書に記載した取り組み課題である、「機械学習技術の適用実験と結果考察」ならびに「模擬看護作業環境の構築」に関して、実データをともに扱える実験を行い、平成30年度以降の取り組み課題への準備を終えている。 以上、初年度の研究進捗として、おおむね順調に進展していると自己評価する。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請時の「研究実施計画」に従い、看護師シフトスケジュールデータの「類似性」や「頻出性」に関する相関分析やクラスタ分析を行い、それらによる「インシデント発生に関わる組織特性の定義と抽出」、看護作業センシング結果のフラグメント化データ、規定作業手順、インシデント発生の具体的状況記述データに関して作業記述を示す重要語や概念階層辞書、記述パターンなどを用いた差異分析を行い、「インシデント発生に関わる個人作業特性の定義と抽出」へと展開する。また、研究協力者による評価フィードバックを積極的に取り入れて、本研究内容をより良いものへとブラッシュアップを図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
調達品につき差額が生じているが、研究実施には支障はない。なお、本差額は次年度の調達品に使用予定である。
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