研究課題/領域番号 |
17K19847
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
石井 雅子 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (80532415)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | デジタル機器 / 幼児の視覚機能 / 視覚の感受性期 / 視覚機能の管理 / 眼科保健指導 / 視力検査実技講習会 / 視力検査 / 眼屈折検査 |
研究実績の概要 |
新潟県内の保育園および幼稚園での幼児眼科健診の重要性を訴えるために,幼稚園教諭,保育士対象の視力検査実技講習会を実施し,さらに新潟県内の6つの幼稚園および保育園の幼児視覚健診に参加し,そのデータをまとめ検討した。多くの幼児教育・保育関係者との連携が実現した。スマートフォン等のデジタル機器利用,テレビの視聴に関する保健指導について,幼児教育および保育現場との意見交換を重ねた結果,近年の子どもの視的環境の変化への懸念,視機能低下を予防することの重要性の再認識ができた。 多職種(幼稚園教諭,保育士,保健師および小児科医) と連携することで,就学前の幼児の視機能管理の徹底の共通認識から,今後の眼科健診プログラムの再構築,デジタル機器使用の問診の細分化の必要性など課題が明確化された。 新潟市の子育てサロンの活動からは,3歳未満児においても子どもの視的環境の変化からくる視知覚の弱さ,さらにスマートフォンなどの長時間の使用や依存との関係性について多くの保護者が関心もっていることがわかった。デジタル機器使用の保健指導の充実は保護者のニーズでもある。しかし,従来の保健指導にデジタル機器の利用を加えるには,デジタル機器と視覚機能の関係性を示す客観的データが必要である。 今後の研究遂行には,視覚の感受性期にある幼児がスマートフォン等のデジタル機器に触れることによる視覚機能への影響を客観的に評価することが必要であると考えられる。さらに研究内容の充実を図ることで,就学前の幼児の正常な視覚発達を促し,子どもの身体活動や就学後の学習へのつまずきを防止することにつなげる研究へと発展することが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は,デジタル機器利用と視覚機能との関連について多職種との意見交換を目的とした。 ①新潟県内の6つの幼稚園・保育園での眼科健診に参加し,そのデータについて,園と共有できた。②幼稚園・保育園の視力検査の精度向上のための研修会を開催し,多くの幼稚園教諭・保育士との連携を図ることができた。さらに,視力検査推進活動としての絵本を作成した。③子どもの眼の異常,デジタル機器利用に関する問診票の作成については,時間をかけて多職種で討議を重ねる必要があることから,次年度以降も引き続き検討することとした。④眼科健診データ,問診票,視力,眼屈折の結果を集計することにより,弱視の早期発見につながり,さらに多くの保護者が子どものスマートフォンと視覚機能との関係について懸念していることが明らかになった。⑤健診データについて幼稚園教諭,保育士,保健師,特別支援学校(盲学校)教諭との意見交換会を開催し,今後の研究方針を明確にした。 以上の進捗から,初年度の大きな目標であった,子どものデジタル機器利用の問題点を多職種で共有することができた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究から,幼稚園および保育園の従来の保健指導にデジタル機器の利用方法を加えるには,デジタル機器と視覚機能の関係性を示す客観的データが必要であることが示唆された。このことから視力や眼屈折以外の視機能の一面を評価する実験が必要と考え,今後の研究内容に組み込むこととする。 本研究の進捗を広く周知するために,子どもの眼の健康ホームページを立ち上げることとする。 デジタル機器利用に関する問診票を試作し,5~6園で試用することで,デジタル機器利用の低年齢化と視知覚の弱さとの関係を明らかにしたい。新潟県内の6つの幼稚園・保育園での眼科健診の参加,幼稚園・保育園の視力検査の精度向上のための視力検査実技研修会の開催を継続し,幼稚園教諭・保育士との連携を強めたい。さらに,3歳児健康診査にも加わり,保健師との連携も図ることとする。 初年度の眼科健診データの学会発表および論文発表を実行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
デジタル機器利用に関するアンケートの入力および集計方法については、医療と幼児教育・保育現場との十分な検討の後に家族構成なども合わせての集計が必要と考えた。そのため、平成29年度の調査項目は平成30年度分と合わせて入力、集計、解析を行うこととする。その入力、集計の人件費および研究成果の投稿費として、次年度使用額を充てることとする。
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