1)燕市の3歳児視覚健診での視力、眼屈折、睡眠時間、スマートフォン等の視聴時間(以下、screen time) について調査した。視力検査だけでは評価できない弱視のリスクファクターがスポットビジョンスクリーナーによる屈折検査で発見された。生活リズムと視力の関係について解析中である。保健師とのデータ共有、screen timeについての保健指導内容の検討を定期的に継続している。2) 鯖江市の就学時視覚健診にてデジタル機器の視聴に関する問診を実施し、視力、屈折値との関係を検討した。視力は1日のscreen timeが3時間以上で1~2時間よりも有意に視力A(視力値1.0以上)が減少した。屈折ではscreen timeが3時間以上で1~2時間よりも有意に乱視量が増加した。子どもの視的環境が視力および屈折に影響を及ぼす可能性があることが明らかとなった。さらに、幼児の眼育(めいく)活動に参加し、保育園児のデジタルデバイスの使用状況および保育士の意識調査を実施した。この結果を基に視覚発達ゲーム、デジタル機器の使用に関する紙芝居、絵本等の教材を開発し、園児に対してscreen timeの保健指導を実施した。3) 新潟市と魚沼市で保育士・幼稚園教諭を対象とした視力検査講習会を開催し、幼児の弱視の早期発見に努めた。講習参加者のアンケートから、子どものデジタル機器についての指導、幼児の視力の発達についての関心が大きいことがわかった。さらに、こども園・幼稚園との連携で園児に対するデジタル機器の使用に関する紙芝居の読み聞かせにより、スマホの視聴に関しての保健指導を実施した。4) 動画の視聴と視線の動きから、眼の緊張を評価するいくつかの実験を進行中である。心拍数、脈拍と視線の動きの関係を成人と幼児とで比較し、ゲームに夢中になる時の視線の動きを解析し、その成果を保健指導の中に組み入れる予定である。
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