研究課題/領域番号 |
17K19850
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研究機関 | 京都橘大学 |
研究代表者 |
堀江 淳 京都橘大学, 健康科学部, 教授 (60461597)
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研究分担者 |
林 真一郎 国際医療福祉大学, 臨床医学研究センター, 教授 (50211488)
高橋 浩一郎 佐賀大学, 医学部, 講師 (70549071)
金子 秀雄 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 准教授 (20433617)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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キーワード | 動的肺過膨張 / 呼吸リハビリテーション / 最大吸気量 / 過換気 |
研究実績の概要 |
慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)患者に対する簡易的、定量的動的肺過膨張評価法として、「過換気最大吸気量測定法」(以下過換気IC測定法)を開発するために、①「過換気IC測定法」の信頼性検証すること、②「過換気IC測定法」の内容的妥当性、基準連関妥当性を横断的に検証すること、③「過換気IC測定法」の内容的妥当性、基準連関妥当性を縦断的に検証することの3つから構成する研究である。 2019年度は、年間を通して過換気IC測定法に関連するデータ収集を行った。研究対象は、早期(軽症)のCOPD患者から進行期(重症)のCOPD患者までのデータ収集を行った。早期のCOPD患者のデータ収集は、薬師寺医院(佐賀県鹿島市)、さとうクリニック(佐賀市)、石井内科(佐賀県有田町)の患者を中心に実施した。薬師寺医院の患者は院内リハビリテーション室、さとうクリニック、石井内科の患者は、医院近隣の公民館にてデータ収集を行った。さとうクリニックは、2019年度より、新たに開始した施設で、横断データの収集を行った。石井内科、薬師寺医院の患者は、初回参加者に加え、1年後、2年後の縦断的データを収集することができた。また、進行期のCOPD患者のデータ収集は、高邦会高木病院(福岡県大川市)、結核予防会大阪病院(大阪府寝屋川市)の患者を中心に実施した。進行期のCOPD患者については、6か月ごとのデータ収集を実施し、横断データ、ならびに縦断データの収集を行った。 2019年度のCOVID-19感染予防によるデータ収集の影響については、早期のCOPD患者のデータ収集は、感染拡大が始まる前にデータ収集が実施できていたが、2019年度後半は、高邦会高木病院でのデータ収集は実施できなかった。また、同時期の結核予防会大阪病院においては、呼吸機能検査の当面の自粛措置が行われたため、過換気IC測定法のデータ収集ができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究分担者である林真一郎、高橋浩一、金子秀雄とは、NPO法人「はがくれ呼吸ケアネット」の活動を通じ、常に研究に関する情報交換など連絡を密にとることができており、順調に研究が遂行されている。また、各医院の院長とも、「はがくれ呼吸ケアネット」登録施設であり、新規の患者のリクルート、継続患者へのアナウンス等で協力体制が構築できている。 本研究と並行して、高邦会高木病院、結核予防会大阪病院の呼吸リハビリテーションスタッフの育成にも尽力しており、研究協力体制、ならびに外来診療体制が構築できるようになり、過換気IC測定法の手技についても十分獲得できている。 また、さとうクリニック、石井内科の患者のデータ測定場所に関しても、近隣の公民館が積極的に協力してくれており、研究備品も含め、物理的な研究環境も確保できている。 研究成果の公表については、第6回日本呼吸理学療法学会学術大会(名古屋市)にて、「慢性閉塞性肺疾患患者に対する簡便的、定量的動的肺過膨張評価法としての過換気最大吸気測定法の妥当性についての検証」を発表した。第18回モストグラフ臨床研究会(東京)では、「COPD患者の動的肺過膨張の評価にMostGraph-02は活用可能か」を発表した。また、第59回近畿理学療法学術大会では、研究協力者である古河琢也が「COPD患者における過換気IC測定法の妥当性についての検証~気道抵抗に着目して~」で演題登録し、優秀演題候補として採択されていたものの、COVID-19の影響で学会が中止になったため発表機会を逸した。現在、他の学会に演題応募予定である。このようなことから、本研究の3つの構成課題のうち、①②は概ね公表できている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度の研究推進方法は、2019年度と同様、過換気IC測定法のデータ収集を継続して実施する。2019年度末に影響を受けたCOVID-19感染予防に関するデータ収集への影響は、現時点では不明であるが、薬師寺医院、さとうクリニック、石井内科の患者のデータ収集は、8月中旬より、9月中旬にデータ収集を計画していることから、昨今の感染拡大状況を考慮すると実施可能であると推測される。各医院の院長と相談の上、実施の方向で検討する予定である。結核予防会大阪病院、高邦会高木病院でのデータ収集は、6~7月には実施可能となることが推測され、再開可能となり次第データ収集を継続する予定である。2019年度、新たな研究協力施設としてさとうクリニックでデータ収集を開始しており、当初計画を1年間延長することにより、更に対象者数を増やした横断データ、ならびに縦断データが蓄積できる予定である。 研究成果の公表については、第7回日本呼吸理学療法学術大会での発表を準備していたが、2020年度は開催中止が決定された。2019年度中止、演題取り下げとなった「COPD患者における過換気IC測定法の妥当性についての検証~気道抵抗に着目して~」については、他の学会で演題登録し発表予定である。2020年10月より、本研究のデータ収集、解析を完了させ、横断データを含めた解析結果を英文誌に投稿予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在、申請した研究計画に沿って、データ収集をはじめとした研究遂行が、おおむね順調に実施できているが、新規にデータ収集を行うことができる施設が増えたため、より多くの研究対象をリクルートすることができる環境になった。これまで以上の研究精度(データ解析力)の向上のため、1年間、研究期間を延長することにより、更に、社会に貢献できる研究成果を公表できる可能性を有していると考えるため。
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