ザンビア共和国ルサカの病院で「妊婦健康診査カード」と「マタニティマーク」の配布を通した受診行動の啓発活動を継続実施した.現地視察では,「外来棟」と「分娩棟」の主任助産師と①カードとマタニティマークが有効活用できているか,②活用できていないとしたら課題は何か,③データ収集ができているか,を確認し改善策を討議した.「外来棟」での初診時は,妊娠期が良好に経過するための保健指導と異常の早期発見のために助産師が面談することが望ましいが,スタッフ不足により保健ボランティアに委任しているという実態があった.保健ボランティアによる問診と集団保健指導は,従来通りの内容で進められており,8回受診の重要性や高血圧の基準値などは医療知識の不足により指導内容に入っていなかった.カードとマタニティマークの意義や高血圧の数値など妊婦に必要な医療知識を追加してもらうための説明文を作成し,保健指導で使用してもらうことで補った.問診時に高血圧であった場合は,助産師に報告することも確認した.運営に関しては,配布も徹底しておらず2回目以降の受診で持っていない妊婦や,初診でカードを受け取り持参しているにもかかわらず2回目以降の記録をしてもらえていない妊婦がいた.主任クラスのスタッフは病院内移動も多く,保健ボランティアは個人差が大きいため専属の医療スタッフを置くことが望ましい.専属の医療スタッフに関しては,病院との協議が必要である.また,妊婦のデータ集計も抜けていることが多く,カルテから情報が後追いできるように集計用紙を修正した.「マタニティマーク」は,ザンビア人は妊娠を隠したがるのでつけないのではないかと懸念していたが,配布された時にバッグにつけている様子が見られ,その後もつけている様子が見られた.訪問時以外は定期的にメールで実施状況を確認した. 本活動は,アフリカ開発会議と学会で発表した.
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