研究課題/領域番号 |
17K19855
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研究機関 | 広島文化学園大学 |
研究代表者 |
中村 哲 広島文化学園大学, 看護学部, 教授 (40207874)
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研究分担者 |
翠川 裕 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 准教授 (10209819)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | フィリピン共和国 / 日本住血吸虫症 / 巨大台風災害 / 水質調査 / Oncomelania quadrasi |
研究実績の概要 |
本研究の最終目的は、日本で確立され日本住血吸虫症の地理情報システム(GIS)を適用した監視システムをフィリピンの同症流行地に適用することが可能かどうかを検証することである。その目標として、2013年の台風Yolanda による被災地域での生息環境(土壌・水質)と生息分布の分析を通じ、台風被災後の貝の生息に関わるインパクト評価と地区内での住血吸虫症発生の予測を行う事とした。本年度は昨年度結果が得られたヨランダ台風時点で採水した同じ調査水源(定点と略す)6箇所での水質結果とタクロバン市の被災後の施設・環境の復興状況について2つの国際会議で発表した。12月には本研究の主テーマであるフィリピン共和国のレイテ島を主とした日本住血吸虫症の疫学と対策事業に関わる歴史的背景について総説として発表した。また、2月末から3月初旬に現地調査を実施し、定点5箇所と新たに調査した水源4箇所で得た検水の水質を分析した。その結果、定点のサマール島に関してはバサイ市病院の水道水源である井戸水の殺菌は十分ではないことが示唆された。また同病院近隣の定点管井戸からも少数だが大腸菌が検出された。同調査では住血吸虫症制御研究病院所属のカウンターパート研究者とともに日本住血吸虫の媒介貝(Oncomelania quadrasi)の分布に関わる調査をレイテ州サンタフェ市内の3か所で実施した。貝の分布は有機物が多く地元ではパロと呼ばれる大型のクワズイモ科の植物が密生する場所に集中して得られることが分かった。調査では2名で約50分間の採集時間で402個体の媒介貝を採取した。しかし、これらの採取貝の住血吸虫感染は認められなかった。フィリピンの調査現地での最新情報によると、レイテ島とサマール島では今年に入ってそれぞれ1箇所の流行地が新たに見いだされており、本研究が提案する地理情報監視体制の確立が重要であることを示している。
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