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2017 年度 実施状況報告書

数時間前の飲酒の証明に挑戦する:新たな飲酒マーカー・腸管を経由した酒類成分の探索

研究課題

研究課題/領域番号 17K19857
研究機関福岡大学

研究代表者

原 健二  福岡大学, 医学部, 講師 (00090738)

研究分担者 ウォーターズ ブライアン  福岡大学, 医学部, 助教 (00609480)
久保 真一  福岡大学, 医学部, 教授 (10205122)
柏木 正之  福岡大学, 医学部, 准教授 (70301687)
松末 綾  福岡大学, 医学部, 講師 (70309920)
高山 みお  福岡大学, 医学部, 助教 (40804802)
研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2019-03-31
キーワード飲酒マーカー / 酒類成分 / GC-MS / コンジェナー / エチルグルコシド / 尿 / 血液 / 試料処理
研究実績の概要

本研究の目的は、尿中から、酒類成分を検出することで、飲酒後数時間経過し、アルコールが消失した尿から数時間前の飲酒の可能性を示すことである。平成29年度の研究計画に従い、簡素な試料処理による酒類中成分、並びにそれに対応する尿中成分のGC-MS(ガスクロマトグラフ・質量分析計)測定を行い、尿中に検出される酒類成分から、飲酒マーカー候補を選び、そして、飲酒マーカー候補に適した尿試料の処理法を検討した。
剖検尿の薬物スクリーニングにおいて、確認できた酒類製造過程に生じるコンジェナーの中で、エチルグルコシド、2-(4-ハイドロキシフェニル)エタノール、4-エチルフェノールを飲酒マーカー候補に選んだ。その他のコンジェナーについては、測定条件を別に検討する必要があることが分かった。GC-MS測定により、エチルグルコシドは。焼酎などの蒸留酒からは検出されないが、日本酒、ビール、ワインから検出され、2-(4-ハイドロキシフェニル)エタノールは、少量ではあるが日本酒、ビールから検出された。これら化合物は親水性が高く、尿、血液中の微量成分をGC-MS分析するために次の2つの方法を試みた。試料調製に誘導体化を導入する方法、極性の高いGC用カラムを使用する方法を検討し、後者が分析の特異性、簡素化に適していることが分かった。
その結果、エチルグルコシドの分析に関しては、ほぼ確立した。次に、ボランティアで、約200mlのビールを飲み、2時間後、24時間後の尿中濃度を測定した。結果、24時間後の尿中濃度が高かった。また、剖検の尿を数例測定したところ、エタノール濃度と相関性はなく、エタノール濃度が低くても、エチルグルコシドは明確に証明できた。研究成果について、京都で2018年9月に京都で開催されるISBRA2018で報告する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

この研究の中心課題は、酒類の製造過程に生成する化学成分を探索し、分析対象となる化学成分を探索し、実用化も踏まえた簡素な試料処理、分析法を確立することである。
酒類中に存在する化合物特にエチルグルコシドは高い親水性を有することから、このGC-MS測定法に、試料の誘導体化、極性の高いカラムの導入を検討した。測定法は確立しつつある。

今後の研究の推進方策

今後は、日本酒、ビール、ワインの醸造酒の飲酒マーカー候補を設定して、簡素な試料調製法を確立し、飲酒実験を行う。飲酒後数時間後に採取したボランティアの尿中に飲酒マーカー候補が検出されるかを確認する。
試料調製については、飲酒マーカー候補が親水性が高いので、GC-MS測定を行うものに対して、効果的脱水法を検討する。
平成29年度の研究成果より、脱水については、一般分析の脱水法では、化合物の回収率が悪くなることが判明した。回収率をできるだけ下げない方法を検討し、尿試料でのエチルグルコシドの定量分析を確立しつつある。
測定方法については、GC-MS、LC-MS/MSを利用し、日常業務で行っている薬物スクリーニングの条件で測定する。
飲酒マーカー候補の定量分析を確立した段階で、ボランティアによる飲酒実験を行い、最適な飲酒マーカーを選択する。(飲酒実験に関しては、福岡大学の医の倫理委員会から承認を受けている。)

次年度使用額が生じた理由

8月からの交付であったので、研究の準備が遅れたため、次年度使用額が生じた。試料処理、分析条件設定のために使用する。具体的には、抽出のカラム、試験管類、GCカラムの購入に使用する。

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公開日: 2018-12-17  

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