研究課題/領域番号 |
17K19859
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研究機関 | 福岡医療短期大学 |
研究代表者 |
大倉 義文 福岡医療短期大学, 保健福祉学科, 教授 (80352293)
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研究分担者 |
力丸 哲也 福岡医療短期大学, 歯科衛生学科, 教授 (10299589)
中園 栄里 福岡医療短期大学, 保健福祉学科, 講師 (10343732)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 認知機能低下 / フレイル / 慢性炎症 / 微小脳梗塞 / 口腔機能低下 / 歯周病原菌 |
研究実績の概要 |
介護要因の主要病態を形成する①脳血管障害(18.5%)と②認知症(15.8%)、③高齢による衰弱(13.4%)の上位3つの病態には、歯科領域の慢性炎症や口腔機能低下の関与が強く示唆されるものの、その病因はほとんど解析されておらず、本研究は、要介護状態の主要病態(上記の①脳血管障害、②認知症と③高齢による衰弱)に関わる脳梗塞・認知機能・フレイル(虚弱性)の関連因子を解析するとともに、歯科領域の慢性炎症や口腔機能低下の変化との関連性を明らかにすることを目的とする。 本研究期間の初年度である平成29年度には、倫理審査の承認が得られた健常高齢者及び高齢者施設入所者(認知機能低下を有する高齢者)を対象に、歯科領域の慢性炎症や口腔機能低下に伴う脳梗塞・認知機能・フレイル(虚弱性)の関連因子の検討を進めた。 当初の研究実施計画に合わせ、主に認知機能低下を有する高齢者を対象とした歯科領域の慢性炎症や口腔機能低下に伴うA)炎症指標・炎症性サイトカイン、B)微小脳梗塞・認知機能関連因子、C)歯周病原細菌(9菌種13菌株)、D)口腔フレイル関連因子の4つの関連因子の変化を検討した。また、健常高齢者における口腔ケアの実施状況と認知機能との関連を検討する際に、フレイル(虚弱性)の関連因子としての骨強度関連因子についても研究解析領域として検討を開始した。 これらの検討を継続している臨床研究の中での脳梗塞・認知機能・フレイル(虚弱性)の関連因子に関する解析は、口腔ケア・歯科治療がもたらす認知機能・フレイル関連ADL(日常活動動作)の改善効果の検証につながる研究上の意義を有すると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である平成29年度には、倫理審査の承認が得られた健常高齢者及び高齢者施設入所者(認知機能低下を有する高齢者)を対象に、歯科領域の慢性炎症や口腔機能低下に伴う脳梗塞・認知機能・フレイル(虚弱性)の関連因子の検討を進めた。 当初の研究実施計画に合わせ、主に認知機能低下を有する高齢者を対象とした歯科領域の慢性炎症や口腔機能低下に伴うA)炎症指標・炎症性サイトカイン等の4つの関連因子の変化を検討する臨床研究においては、臨床研究の症例数を増やすため、福岡市内の高齢者施設においても実施できるよう倫理審査の変更手続きを進めている。 さらに、健常高齢者における口腔ケアの実施状況と認知機能との関連に関する検討において、フレイル(虚弱性)の関連因子としての骨強度関連因子の検討も実施することで、幅広いフレイル(虚弱性)の関連因子の解析と、認知機能・フレイル関連ADL(日常活動動作)の改善に関する新たな検証が可能となると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に進めてきた健常高齢者及び高齢者施設入所者(認知機能低下を有する高齢者)を対象とした臨床研究については、症例数を増やすための倫理審査の変更手続きを進めることで、福岡市内の高齢者施設においても臨床研究ができる体制を構築していく。 さらに、健常高齢者における口腔ケアと認知機能との関連に関する検討においては、骨強度関連因子に関する検討を進めることで、骨強度や筋肉量等との新たなフレイルとの関連性の探索や認知機能・フレイル関連ADL(日常活動動作)の改善についての検討も視野に入れている。 さらに、歯周病原細菌血清抗体価の変化と血中炎症性サイトカインや認知機能関連因子の変化との関連性に関する解析を進めることで、要介護状態に潜在する病態の探索に関する新たな知見を見出したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度である平成29年度には、倫理審査の承認が得られた健常高齢者及び高齢者施設入所者(認知機能低下を有する高齢者)を対象に、歯科領域の慢性炎症や口腔機能低下に伴う脳梗塞・認知機能・フレイル(虚弱性)の関連因子の検討を実施することができたものの、高齢者施設での対象者の中で臨床研究への参加(エントリー)が困難な症例もあった。 さらに、健常高齢者における口腔ケアの実施状況と認知機能との関連に関する検討を行い、フレイル(虚弱性)の関連因子としての骨強度関連因子の検討も開始した。それらに伴う新たな研究の方向性の検討を進めたために、未使用額が生じた。 次年度の実施計画としては、臨床研究の症例数を増やすため、福岡市内の高齢者施設においても実施できるよう倫理審査の変更手続きを進めており、早期からの臨床研究の開始を心がけている。
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