研究課題/領域番号 |
17K19859
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研究機関 | 一般財団法人ファジィシステム研究所 |
研究代表者 |
大倉 義文 一般財団法人ファジィシステム研究所, 研究部, 主席研究員 (80352293)
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研究分担者 |
力丸 哲也 福岡医療短期大学, 歯科衛生学科, 教授 (10299589)
中園 栄里 福岡医療短期大学, 保健福祉学科, 講師 (10343732)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 認知機能 / 歯周病原細菌 / フレイル / 介護要因 / 大脳前頭前野 |
研究実績の概要 |
本研究は、脳梗塞・認知機能・フレイル(虚弱性)などの主要病態における歯科・口腔機能関連因子を解析することで、認知機能や介護要因との関連が報告されている血液中の微小脳梗塞・認知機能関連因子等の変化と歯科領域の慢性炎症の改善や口腔機能低下の改善との関連性を明らかにすることを目的としている。 本研究期間の2年目である平成30年度には、高齢者施設入所者(認知機能低下を有する高齢者)を対象とした6ヶ月間の口腔ケア・歯科治療プログラムを実施する臨床介入研究を行い、歯科領域の慢性炎症や口腔機能低下に伴う脳梗塞・認知機能・フレイル(虚弱性)の関連因子の検討を進めた。 6ヶ月間の口腔ケア・歯科治療プログラムの中間解析により、A)炎症指標・炎症性サイトカイン、B)微小脳梗塞・認知機能関連因子の改善傾向が認められ、さらに、C)一部の口腔フレイル関連因子の改善傾向も認められた。しかしながら、D)認知機能やE)日常生活活動(ADL) に関する有意な改善は見出せなかった。F)歯周病原細菌(9菌種13菌株)に関する検討は次年度に実施する予定である。 これらの臨床研究を実施することで、口腔ケア・歯科治療がもたらす認知機能・フレイル関連ADL(日常活動動作)の改善効果の検証が進められ、口腔ケア等による慢性炎症の改善による血液中の微小脳梗塞・認知機能関連因子等の変化・改善に関する新しい知見を見出すことができた。また、要介護状態に潜在するフレイルと認知機能低下との関連に関する探索的解析として、近赤外線分光法(NIRS)を用い、口腔領域のフレイル改善のための舌運動や口唇閉鎖運動による大脳前頭前野の認知機能局在部位の活性化に関する基礎研究も並行して行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度である平成29年度から引き続き、高齢者施設入所者(認知機能低下を有する高齢者)を対象に口腔ケア・歯科治療プログラムを実施し、歯科領域の慢性炎症や口腔機能低下の改善に伴う脳梗塞・認知機能・フレイル(虚弱性)の関連因子の変化を検討しており、平成30年度には複数の高齢者施設入所者を新たな対象者に加えることで臨床研究の対象症例数を増やすことができた。 6ヶ月間の口腔ケア・歯科治療プログラムの中間解析により、炎症指標・炎症性サイトカインや微小脳梗塞・認知機能関連因子の改善傾向を示す新たな知見が得られた。歯周病原細菌(9菌種13菌株)に関する検討は未実施であったが、次年度に実施する予定である。 さらに、近赤外線分光法(NIRS)を用いた舌運動・口唇閉鎖運動による大脳前頭前野の認知機能局在部位の活性化に関する基礎研究も実施しており、要介護状態に潜在するフレイルと認知機能低下との関連に関する探索的な研究を並行して行っている。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度の研究成果として得られた6ヶ月間の口腔ケア・歯科治療プログラムの中間解析の結果を再検証するとともに、対象症例数を10名程度増やすことで統計解析に向けた臨床研究の精密度を向上させていきたい。また、歯周病原細菌(9菌種13菌株)に関する歯周病原細菌血清抗体価の結果を加えた解析を実施し、歯周病原菌の変化・減少と血液中の微小脳梗塞・認知機能関連因子等の変化との関連についても解析していく。 さらに、要介護状態に潜在するフレイルと認知機能低下との関連に関する探索的解析として、近赤外線分光法(NIRS)を用いた大脳前頭前野の認知機能局在部位の活性化に関する基礎研究も引き続き実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度には6ヶ月間の口腔ケア・歯科治療プログラムにおいて、複数の高齢者施設入所者を新たな対象者に加えることで臨床研究の対象症例数を増やすことができ、血中の炎症指標・炎症性サイトカインや微小脳梗塞・認知機能関連因子の改善傾向を示す新たな知見が得られたものの、高齢者施設での対象者の中で臨床研究への参加(エントリー)が困難な症例もあった。さらに、要介護状態に潜在するフレイルと認知機能低下との関連に関する探索的解析として、近赤外線分光法(NIRS)を用いた大脳前頭前野の認知機能局在部位の活性化に関する基礎研究も行った。それらに伴う新たな研究の方向性の検討を進めたために、未使用額が生じた。 次年度の実施計画としては、臨床研究の症例数をさらに10例程度増やすとともに、歯周病原細菌(9菌種13菌株)に関する歯周病原細菌血清抗体価の結果を加えた解析を行う。
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