研究課題/領域番号 |
17K19861
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
石原 雅之 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 防衛医学研究センター 医療工学研究部門, 教授 (10508500)
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研究分担者 |
中村 伸吾 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 防衛医学研究センター 医療工学研究部門, 講師 (00505323)
藤田 真敬 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 防衛医学研究センター 異常環境衛生研究部門, 准教授 (20525927)
加來 浩器 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 防衛医学研究センター 広域感染症学・制御研究部門, 教授 (40431499)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 水蒸気マイクロミストジェット噴射洗浄器 / 次亜塩素酸 / ホタテ貝殻由来生石灰 / 洗浄 / 除染 / 消毒 / 病原微生物 / 有害化学物質 |
研究実績の概要 |
開発中の蒸気と希釈機能水として純水を混合しノズルから噴出させる水蒸気マイクロミストジェット噴射洗浄器は高速蒸気噴射の中に希釈機能水を加えて強力に汚れを取ることを特徴としている。本研究の第一の目的は、水蒸気マイクロミストジェット噴射洗浄器の生体への適用であり、水蒸気と希釈機能水のみを用いて動物の皮膚や医療用器具等の汚れの洗浄と殺菌・消毒効果、及び感染性創傷部の殺菌・消毒洗浄とその洗浄による創傷治癒促進効果を評価する。加えて、強いウィルスの不活化及び殺菌効果があり、食品添加物としての安全性も認められている微弱酸性次亜塩素酸水やホタテ貝殻由来生石灰水を水蒸気マイクロミストジェット噴射洗浄器の希釈機能水として併用適用する可否を検討した。すなわち本研究の第二の目的は、微弱酸性次亜塩素酸水やホタテ貝殻由来生石灰水の水蒸気マイクロミストジェット噴射洗浄器の希釈機能水としての適用であった。 生体や素材に損傷を引き起こさない水蒸気マイクロミストジェット噴射温度(40-43℃)や噴射圧力の制限・制御法を確立し論文や学会発表を行った。特に本研究中に、弱酸性次亜塩素酸水(pH 6)、次亜塩素酸ナトリウム(pH 8)、ホタテ貝殻由来生石灰水 (pH 12)、Providene iodine (イソジン)、Chlorhexidine gluconate (ヒビスクラブ)を併用した水蒸気マイクロミストジェット噴射洗浄器の有用性を検討し、相乗的効果を確認している。特にホタテ貝殻由来生石灰水については、他の消毒剤と比して強力であり、病原微生物のみでなく有害化学物質の除染・洗浄にも有効である結果が得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
洗浄水として、ミネラル等不純物の少ない軟水(できれば純水)が良いとされる。洗浄温度は、30-50℃が適温とされており、20℃以下の低温では洗浄効果が減少し、50℃以上の高温温度では洗浄物を傷め、タンパク質を変性させると言われている。また、水素イオン濃度 (pH) が高いと油脂の溶解、タンパク質や糖質の加水分解がおき、生体にとって悪影響が考えられ、器具の破損・変性の原因になる。健康な皮膚のpHは4.5-6の弱酸性であり、生体洗浄水も弱酸性純水が最適と言われている。本研究では、市販小型浄水システムを用いて製造した浄水(純水)をpH 6に調整して用い、生体に損傷を引き起こさない水蒸気マイクロミストジェット噴射温度(42-45℃)や噴射圧力の制限・制御法を確定し、論文発表を行った。 さらに水蒸気と希釈機能水のみの適用では難しいウィルスの不活化及び殺菌活性が要求される場合のため、弱酸性次亜塩素酸水(pH 6)、次亜塩素酸ナトリウム(pH 8)、ホタテ貝殻由来生石灰水 (pH 12)、Providene iodine (イソジン)、Chlorhexidine gluconate (ヒビスクラブ)を併用した水蒸気マイクロミストジェット噴射洗浄器の有用性を検討し、相乗的効果を確認した。特にホタテ貝殻由来生石灰水については、他の消毒剤と比して強力であり、病原微生物のみでなく有害化学物質の除染・洗浄にも有効である結果が得られている(学会・論文発表準備中)。動物の壊疽や褥瘡を含む化膿性・難治性創傷の洗浄・治療法として、有用性のみならず安全性について、このホタテ貝殻由来生石灰水を含んだを汎用除染、消毒剤の併用の可否を検討する。
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今後の研究の推進方策 |
消臭効果を有し、各種ウィルス、病原菌、真菌を瞬時に不活性化及び殺菌することが知られている微弱酸性次亜塩素酸水やホタテ貝殻由来生石灰水を汎用除染、消毒剤としての用途の他、動物の壊疽や褥瘡を含む化膿性・難治性創傷の洗浄・治療法としての水蒸気ミストジェット噴射洗浄への併用・適用の可否について検討する。本研究での洗浄・消毒手段は、物理的消毒と化学的除去を併せ持った除染方法となり、既存の方法では達成が難しかった対象部位に強固に付着した微生物、バイオフィルム、デンタルプラーク、或いはエンドトキシンや各種有毒物質の除去が可能となると期待される。本研究で用いる微弱酸性次亜塩素酸水やホタテ貝殻由来生石灰水は、食品添加物としての許認可は得られているものの医療用デバイスとしての許認可は得られていないため、本期間中に小動物実験により評価して獣医学や環境衛生分野での適応を目指していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の執行が遅れたこととが大きな原因であるが、連絡を密に行い、すでに執行を進めている。次年度使用額は本年度にすべて使用する予定である。
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