研究課題
①尿酸関連遺伝子とパーキンソン病(PD)の関連解析:本研究ではABCG2機能に基づくPDの発症年齢への影響の評価を目指した。さらに、新規尿酸関連遺伝子を対象としたPDの関連解析を実施した。我々の研究室では新規尿酸関連遺伝子について多くの情報があるため、これらとPDの関連解析を世界に先駆けて実施できる体制にあり、ABCG2以外にPDの発症年齢に関わりうる尿酸関連遺伝子の同定を目指した。②PDの国際共同研究:我々は、尿酸を含む環境因子に着目したPDの国際共同研究である「COURAGE-PD」プロジェクトに参加して、尿酸・痛風関連遺伝子の観点からPDの保護的作用についても検討した。また、それを含めて海外との関連の共同研究として、日本からは、収集された症例・対照群合計200人分の検体を提供しており、今後国際共同研究の成果が得られる見込みである。③PDの研究リソースと研究基盤の整備:①、②の研究を通じて、日本発でPDの分子遺伝疫学研究のための研究リソースと研究基盤を本研究期間中にさらに整備できた。④尿酸の神経保護的作用の検証とPDのゲノム個別化予防に向けた研究:①~③に示した国内外の共同研究の成果を総合して、PDの発症年齢などに影響を与える遺伝子とその分子病態への関与について評価できる研究基盤が構築できた。そして、尿酸値のゲノムワイド関連解析を実施し、8個の新規遺伝子座を同定し、またトランスエスニックメタ解析を併用して25個の新規遺伝子座を含む合計62個の尿酸関連遺伝子を同定し(Nakatochi et al, Commun Biol, 2018)、今後これらの遺伝子とPDの発症年齢との関連解析等が検討されている。尿酸関連遺伝子に着目した新規の予防因子を明らかにして、それらの知見をもとにしたゲノム個別化予防の観点から、個人差に応じたより適切な早期予防法の開発に資する成果となった。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)
Communications Biology
巻: 2 ページ: 1-10
10.1038/s42003-019-0339-0