研究課題/領域番号 |
17K19866
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
佐藤 正明 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 主任研究官 (30442966)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 日本紅斑熱 / Rickettsia japonica / 大腸菌発現組換えタンパク質 / ワクチン |
研究実績の概要 |
リケッチアはグラム陰性の偏性細胞内寄生細菌であり、ダニ等の媒介によってヒトに感染し、四肢や体幹に紅斑や発疹を伴うリケッチア症とよばれる熱性疾病の原因菌である。 わが国におけるリケッチア症は国内で定められた四類感染症に属し、診断後は直ちに届出が必要な疾病で国内では主に日本紅斑熱とつつが虫病である。その他にも海外渡航者の中で外来性Rickettsia spp.を起因とする輸入感染症としてのリケッチア症も存在する。 R. japonicaについて、免疫原性に関する基礎的な知見について未だ不明な点が多く、さらにこれに対するワクチンは未だ確立されていない。リケッチア症は野外で長時間作業する農業や林業の従事者に多く、また発病者自身がダニに刺された自覚のない場合やその症状がインフルエンザ様と似ているため早期診断の遅れや誤診をまねくことがあり、その結果、重篤化および死亡につながってしまう。このため感染予防の観点からリケッチア症対策を考えることは重要であり、そのための有効な手段としてワクチンの開発は重要な課題である。 本研究では欧米の紅斑熱リケッチア由来のタンパク質について過去に作製が報告されている部分ついて日本紅斑熱リケッチア(Rickettsia japonica、以下R. japonica)で相当する部分を公開されている遺伝子情報をもとにPCRサブクローニングの系を用いてタンパク質発現プラスミドを作製した。作製した抗原タンパク質は未だ不明な点の多いリケッチア症の免疫学的特性を解明するためのツールとして応用できる可能性もあり、ワクチン開発につながることが期待できることから、本研究が大きなチャレンジ性を持つと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の基金支給の開始が通常より遅れたことと、目的のタンパク質を発現するプラスミドの作製を終え、薬剤誘導下で発現させ精製を試みたが、尿素溶解でしか可溶化せず、その後の尿素液交換の条件検討で遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
リケッチア菌体をマウスに感染させ、そこから得られた抗血清の組換えタンパク質に対する反応性を検討する。また、組換えタンパク質をマウスに感染させ、同様に得られた抗血清についても、リケッチア感染防御能の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本基金の支給採用決定が、7月と通例より遅れたことと、マウス感染実験の実施が遅れたため、マウスの購入予算を次年度にあてざるを得なかったため。
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